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「社会課題を解決したい」37歳男性が、“Amazonで商品を売る仕事”に見出した意味とは?

日刊SPA! / 2024年6月4日 15時50分

「子どもたちにとって快適とはいえない商品が並んでいました。既存のイヤーマフは“工事現場”で使用する大人用のものがほとんど。そのため、遮音値(音をさえぎる力を表す数値)が非常に高く、壊れにくいように重くて硬い造りになっている。これを子どもが長時間つけていると、当然、痛くなってくる。

 また、深夜の工事現場でも目立つように、たいていのイヤーマフがビビットカラーなのですが、学校や日常生活でつけていると目立ちすぎるわけです。目立ちにくい黒や、子どもたちが好むパステルカラーがあれば、喜ばれるのではないかと思いました」

◆自信を持って商品化に踏み切るまで

 さらに、小児科医である双子の弟さんの存在も大きかったそうです。

「弟が小児科医なので監修をお願いしてみると、『遮音値が高いと完全防音になり、逆に子ども用としては危ない。25デシベルくらいがいいんじゃないか』とアドバイスをくれたんです。耳障りな音は防ぐけれど、街中で親御さんが注意する声や周囲の音は聞こえることが安心・安全につながる、と。25デシベルは、子ども用のイヤーマフにベストな数値だったんです」

 ここまで順調に見えるIさんの商品開発ですが、同時に大きな不安も抱えていたそうです。それは「本当にこの商品が市場にフィットするのか」。

「いちおう市場があるといっても、そもそも子ども用イヤーマフ自体がそこまで認知されているわけではなかったので、つくっても売れるのか不安でした。そこで知り合いの聴覚過敏があるお子さんたちに1~2週間お試しで使ってもらいました。すると、ほとんどのお子さんが『すごくよかった』と言ってくれたんです。それで確信しました」

 たとえば、「映画が終わるまで親子で一緒に映画館にいれた」「聴覚過敏のない兄弟も一緒に家族揃ってイベントに出席できた」「花火大会に参加できた」……そんな感想が多く寄せられたといいます。不快な音をやわらげて、精神的に安定するお子さんの存在を実感し、商品化に自信を持って踏み切れたのです。

◆「プロダクト」の力で社会課題を解決したい

 発売開始から4か月が経った現在、Iさんの商品は順調に売上を伸ばしています。

「聴覚過敏の症状があるお子さんが通っている保育園や特別支援学級の先生から、親御さんに『こういう商品が売っているから試しに使ってみたら?』とすすめてくれるようです。もともと子ども用イヤーマフの存在自体を知らなかった親御さんからも『この商品に出合えてよかった』といった感謝のレビューも多く、僕にとって励みになっていますね」

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