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ハンバーガー業界で“圧倒的な差”をつけるマクドナルド。業界2位のモスバーガーに勝ち目はあるか

日刊SPA! / 2024年6月5日 15時53分

 売上規模が大きいとスケールメリットが発揮できたり、取引先との力関係で優位になることも多いが、マクドナルドはそれよりも効率経営による確実な利益の確保とリスク回避を選定したのであろう。

 これらは、財務状態を見ても、自己資本比率が28.2%のゼンショーに対して72.8%と高いマクドナルドでは、資本の安定性に大きな開きがあり、両社の戦略の差が如実に数字に表れている。

◆両店の価格差はほとんどなくなっている

 低価格商品の販売でも採算がとれるよう、コストリーダーシップ戦略で市場を牽引してきたマクドナルド。しかし、低価格で客層に変化が生じて店に負のイメージが浸透してしまったため、商品の付加価値化で負のイメージを払拭する路線に転換してきた。

 マクドナルドには元祖ハンバーガー170円はまだあるが、ランチタイムに対応した昼マックはクーポン券使用で600円台である。同程度の金額を使うなら低価格のファミレスに行く人も多いだろう。

 商品による差別化で対抗しようと考えていたモスバーガーは、高価格、高品質という高級路線を推進し、商品に原価をかけていた。もちろん、美味しく品質の高いハンバーガーの提供を維持するなら、それなりの価格が必要だ。だからマクドナルドとは100~200円の価格差があったが、少し高くても鮮度が高く手作り感があるモスバーガーを好むお客さんは多く存在し、そういったグルメ志向のお客さんに支えられていた。

 以前は、お客さんが持つ両社のイメージとしては、低価格のハンバーガー店のマクドナルドと、少し高いが商品力が強いモスバーガーというイメージが定着していた。しかし、マクドナルドとモスバーガーの価格差がなくなってきているといえるのではないだろうか。

◆競争による品質向上と価格低下を期待したい

 マクドナルドの店内飲食、テイクアウト、デリバリーと各機能が有効に活かされ、特にドライブスルーなどはお客さんの利便性を考慮したオペレーションになっており、機会損失を軽減した体制である。こういった収益機会の確実な増大は、他社への明確な差別化にもなっている。

 週末のピーク時間帯のスタッフの多さも、よくここまで集められたと感心するし、工程管理や動作研究を勘案し、コンパクトで作業動線の短縮化を実現したカウンターとキッチンで30人近くが所狭しと働いている光景には驚く。外に出ればドライブスルーに担当者が付き、ウーバーイーツとは別にマックデリバリーも多くが配達に奔走している。

 店舗数で圧倒的な差をつけるマクドナルド、昔から商品力に一定の評価があるモスバーガー、外食最大手のゼンショーの傘下に入り再生を目指すロッテリアと融合店のゼッテリア、新たな発想でまた市場を開拓しようと復活中のバーガーキングなどが競い合っている。これらの競争による品質向上と価格低下を期待したい。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan

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