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生活保護家庭から東大に現役合格したけど学費が払えず…「もっと働けと言われるのはつらい」

日刊SPA! / 2024年6月9日 15時53分

生活保護家庭から東大に現役合格したけど学費が払えず…「もっと働けと言われるのはつらい」

鈴木優斗さん

―[貧困東大生・布施川天馬]―

 2024年5月に東大が授業料引き上げを検討したと報じられました。現在の学費は年間53万5800円ですが、64万2960円へ上昇する見込み。
 40%以上が世帯年収1,000万円以上と目される東大生。多くは親が学費を払い、彼らに10万円の値上げ程度は問題ないように見えます。

 しかし、少数ながら貧困にあえぐ東大生も存在します。奨学金や学費免除制度を駆使しながら、なんとかしがみつく学生たちにとって、学費値上げはどれほど負担なのでしょうか。今回は、現役東大四年生の鈴木優斗さん(仮名・22歳)にお話を伺います。

◆学費も生活費も自腹。休学を余儀なくされる

「僕は大学院進学を考えていますが、このニュースは寝耳に水でした。大学院に進学する前に値上げされたら、10万円上乗せで払う必要が出ます。ただでさえ金がない大学院生には痛手すぎます」

 大学院は修士課程と博士課程の2つに分かれており、博士号をとるためには修士号を取らなくてはいけません。学部時代よりも勉学に励まなくてはいけませんが、彼には一人で学費を工面する必要があるといいます。

「親が払ってくれるような裕福な家庭ならまだしも、僕は生活保護世帯の出身で、学費や生活費も全額自腹です。奨学金も借りましたが、東京で一人暮らしする生活資金に消えました。今は仕方なく休学して、学費を稼ぐために働いています」

 彼は、月に15万円は最低でも稼ぎたいと語ります。内訳は、水道光熱費、家賃、食費や通信費で10万円。さらに、学費の貯金を5万円。

「週20時間程度にセーブして、学習支援のアルバイトをしています。時給はいいんですが時間が固定ではないので、朝6時から21時まで働くこともありました。その日は帰宅して26時まで勉強しましたね。どんなに疲れていても、毎日勉強していないと不安になります」

◆「もっと働け」の声がつらい

 決して少なくない労働時間ですが、周囲からは「もっと働け」と厳しい言葉をかけられることもあるそうです。

「僕は大学院で研究者になるための勉強がしたい。いまも毎週同期と集まって一日がかりの勉強会を開催しています。その日はもちろん、発表準備や予習復習の時間を考えると、これ以上働く日を増やすことはできません。勉強を頑張りたくて大学に入ったのに『もっと働け』と言われるのはつらい」

 彼の本懐は勉強で一旗揚げ、研究者になることです。しかし、稼いでいる額がギリギリなので、最近では仕事を優先せざるを得ず、勉強がおざなりになっていると語ります。本来の目的がおろそかになっている現状に迷いも生じるそうです。

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