51歳で出合ったライターという“天職”。50代の新人が“前職のスキル”を活かして売れっ子になるまで
日刊SPA! / 2024年6月14日 8時58分
「ギャラの安さにも不安を覚えました。テレビの仕事は安定しているように思われがちですが、じつはそうでもなくて。ある番組で、『構成料は1ヵ月4万円でお願いします』と言われたときは驚きました。1回の放送で1万じゃないんですよ。1ヵ月分の放送まとめて4万。1ヵ月5週の月もあるから、そうなると1本1万円にも満たない。東京の相場と比べて関西はこんなに安いのかと……」
このままでは仕事を続けられない。精神面でも生活面でも危機を感じた吉村さんは、転職を考えるようになる。
◆WELQ騒動がきっかけでWebライターを知る
「その時点で50歳目前だったので、転職活動をしたところで雇ってくれる会社があるのだろうかと悩んでいました。そんなときに、“Webメディアで記事を書くとお金がもらえる”と聞いて。知るきっかけとなったのは、2016年のWELQ(ウェルク)騒動でした」
WELQ騒動とは、DeNAが運営する健康・医療情報サイト「WELQ」が、著作権侵害と不正確な情報提供で大きな批判を受けた事件だ。
たとえば、「肩こりは幽霊が原因」と書かれた記事が有名だが、キュレーション(※インターネット上の情報を独自の基準で収集・選別・編集し、情報に新しい価値を付加した状態で共有すること)の名のもとに、いわゆる“パクリ記事”、“情報元が不正確なコタツ記事”が大量に掲載されており、テレビでも取り上げられる社会問題となった。
「WELQ騒動があって、Webの世界からパクリ記事やインチキ記事を一掃しなければならないと、Webメディアのあり方に変化が生まれました。そこで、一次情報に触れられる“取材記事”にスポットライトが当たるようになったんです」
出版社やテレビ局など、報道機関が運営するニュースサイトと違い、一般企業によるWebメディア(オウンドメディア)は、SEO(※検索エンジンで上位表示させるための施策)を意識したキュレーション記事で成り立っている場合が多かった。それまで“記事作成のために取材する”という前提がなかったWebメディアにおいても、WELQ騒動を機に取材できる人材が求められるようになったのだ。
◆SNSのライター募集を見て応募
「急にスポットが当たったものだから、『誰か取材できるライターはいないか』と業界内が人手不足に陥ったんですね。そのときに僕は運よくチャンスを掴めた。クラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトに登録しようと考えていた矢先、Xでとある投稿を見つけたんです」
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