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大節約時代に「コンビニに行けない」若者も…“12兆円規模”コンビニ業界が迎える難局

日刊SPA! / 2024年6月23日 8時52分

◆コンビニには高すぎて行けない若者世代

 確かに昔と比べたらコンビニのおにぎりや惣菜関係の品質は高くなっているが、割高感は否めず、価格の割には満足できない。節約志向の人に利便性が売りのコンビニの選択肢は薄らいでいる。

 所得が微増な状態なのに、それをはるかに上回る物価高騰に、タイパを重視するさすがの若者も、生活防衛のために時間節約型からお金を節約する消費行動に変化している。もうコンビニには高すぎて行けないし、行く価値がないと若者世代は離れていっているようだ。

 日本フランチャイズチェーン協会の発表によると、2024年4月のコンビニの実績は、売上・客数共に前年を上回っているが、客単価は-0.7%と下回っている。コンビニは店舗数5万5647店、市場規模12兆円7000億円、13億人を集客する巨大小売業であり、2008年に百貨店売上を抜いている。ちなみに客単価は711円と前年を下回り、節約の影響は若干、出ているようだ。

 コンビニに行けば、今のトレンドが分かったり、行政サービスなどは便利だったりする側面はある。しかしながら、そういう身近な存在であっても、提供価値を見出せなくなりつつあるようだ。コンビニ各社はここでしか買えない商品などオンリーワンを訴求し、若者世代の囲い込みの巻き返しを図っている。

◆変革を求められるコンビニチェーン

 今後、さらに節約志向の強くなるなか、コンビニチェーンはどう変革するかだ。昨今では加盟店が経営を持続できるように、効率的なビジネスモデルを設計していて、店の規模も小さく、家賃など固定費の負担も低減化している。

 常に売れるものを並べて、限られたキャパシティを有効活用できるよう、多頻度小口配送の物流で対応している。そして、利益を享受し合う本部と加盟店が、お互いの思惑を合致させ、経営理念共同体として強固な関係を維持している。

◆もはやトレンドの発信地ではない

 粗利益の3~4割のロイヤリティを本部に支払う加盟店との良好な関係が、店を利用する客層の変化に対応していけるだろうか。今までは、そこまで負担しても採算が取れる費用構造だったが、今後も大丈夫とは言い切れなくなり、本部も危機感を抱いている。 

 コンビニは情報機能も有しており、トレンドを知るにはコンビニが最適だったが、スマホの普及でいつでも豊富な情報が入手し放題の環境が整っている。少しでも出費を抑えたいから、時間を節約できるコンビニよりも、安くて商品内容は充実したスーパーに時間をかけても行く人が増えている。

 高齢化社会の中、遠くに買い物に行けない一人暮らしの高齢者が行く店にコンビニがなりつつあるのは、彼らの思惑とは合致しないだろうが、致し方ない。各社の今後の戦略を注視したい。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan

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