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5060億円市場を3社が競う牛丼チェーン。“松屋外交”で各国大使も絶賛する松屋の強さの秘密

日刊SPA! / 2024年7月3日 8時52分

 ここ最近の物価高騰・円安・人手不足による賃金上昇・エネルギーコストの上昇などで、飲食店にとっては、費用の負担が利益を削り、店を持続させることが困難になっている。30年と長引いたデフレをさまざまな工夫で生き抜いた飲食店は、値下げすることは慣れていても、値上げすることに慣れていないために苦労している。

 各店、値上げは段階的に進めているが、競合店とのし烈な競争から、値上げのタイミングには慎重になっており、採算が厳しそうだ。物価上昇に賃金上昇が追いつかず、少し高くなってもいいものが食べたいというお客さんは限られているなか、生き残りに知恵を絞っている。

◆逆風下でも「世界の味」シリーズが好評

 定食メニューの豊富さは松屋の強みだったが、今はすき家も吉野家も定食メニューを充実させている。同質化されつつあるメニュー内容だが、松屋は世界の料理を「世界の味」シリーズとしてメニュー化し、人気を博している。なかでもジョージアの「シュクメルリ」が90万食の大ヒットとなり、これは“松屋外交”とも呼ばれており、各国の大使館関係者からも好評のようで、メニュー化の要請も多いようだ。

 松屋の世界各地の伝統料理にまで視野を広げた商品開発力は、競争上の差別的優位性を有していると評価されている。一方で、外食業界では、海外からの旅行者によるインバウンド需要が回復して、外食需要が高まっている。しかし、食料自給率が40%程度と海外からの輸入に依存している日本は、円安で輸入食材の高騰やエネルギーコストの高騰などにより、経営環境が相変わらず厳しい状況である。

 その中であらゆる供給で需要を喚起するをテーマに松屋は新商品の導入が活発だ。代表的な新メニューは「ホワイトソースハンバーグ定食」、「牛肉チャプチェ定食・チャプチェコンボ牛めし」「デミグラスソースハンバーグ定食」「ねぎたっぷりスパイスカレー」「ネギ塩牛焼 肉丼」「炙り十勝豚丼」などである。

◆吉野家ブランドに固執しない牛丼好きを吸引

 品揃えを広げるということは、お客さんの多様なニーズに対応し、選択肢を広げて選ぶ楽しさを提供することになる。しかし、店にとっては負担が大きくなるなど、トレードオフの関係にある。食材を共通化して在庫を減らしたり、調理手順など提供の効率化をしたりすることが、双方にとってもメリットになると認識しないといけない。

 出店戦略としては、コロナが収束し、耐えることから攻めの姿勢に転換した松屋は、牛めし業態51店舗、とんかつ業態7店舗、鮨業態4店舗、海外・その他業態10店舗の合計72店舗を出店した(いずれも2024年3月期)。一方で、直営の牛めし業態は15店舗、とんかつ業態1店舗、すし業態1店舗、海外・その他業態5店舗の合計22店舗を撤退し、スクラップ&ビルドも徹底している。

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