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大手回転寿司チェーンが抱える“ジレンマ”。「ひと皿100円均一」からの脱却も、“強みを失う”結果に

日刊SPA! / 2024年7月7日 8時53分

ポイントは「大手系との差別化」です。高価格帯の寿司を売ることとブランディングにしっかり取り組んできたところは伸びています。一方で大手系が「ひと皿100円」で伸びたときに、それに追随してしまったところは落ち込んでいます。

例えば大手系の場合、ネタの多くは業者で加工したものを仕入れて使用しています。店舗に握る技術、魚をさばく技術などの「職人力」を持ったスタッフがいるケースはほぼありません。一方でそんな職人力を担保できたところ、つまり大手ができないことをやってきたところは好調なのです。

◆仕入れの面でも小回りが利く

また仕入れについても、大手系とローカル系で差があります。大手系はスケールで仕入れますが、ローカル系は鮮度高く仕入れます。私たちの世界では、水揚げされたその日のうちに店頭に並ぶものを「DAYゼロ」と呼びます。水揚げからゼロ日という意味です。水揚げの翌日に並ぶものは「DAYワン」、さらにその翌日は「DAYツー」となります。

例えば水揚げ後に熟成させる必要があるマグロを除き、白身魚や青魚はやはりDAYゼロが強い。そうなると、市場などへ直接出向いて仕入れることのできるローカル系にとってはこの部分が強みになるのです。店内で魚をさばける、握れる、残ったアラなどをからとった出汁で味噌汁を作れる、こういった大手系ができないことで勝負するローカル系は今後も伸びていくでしょう。

◆『スシロー』『くら寿司』と『はま寿司』『かっぱ寿司』で異なる事情が

国内市場が飽和状態になったことで、大手系は今後、海外展開で状況を打開していくことになるでしょう。その場合、同じ大手系4社でも、寿司専門で展開してきた『スシロー』『くら寿司』と、コングロマリット企業(異なる業種の企業同士の合併や買収などで成長してきた企業)である『はま寿司』『かっぱ寿司』とでは、少し事情が異なります。

『スシロー』『くら寿司』は早くから海外展開に取り組んでいます。

『スシロー』は2012年ごろに韓国に進出し、その後は台湾と香港に出店して大成功をおさめます。1店舗あたりの売上が国内店舗よりも大きいところもあるほどです。これをきっかけに、現地では大型店舗で、寿司以外のサイドメニューを充実させ、寿司を軸とした「ファミリーレストラン」化に舵を切ることで中国本土やインドネシア、タイ、フィリピン、シンガポールなどで着実に伸びてきています。

『くら寿司』は2009年にアメリカ、2014年には台湾に出店。アメリカ・台湾という市場に集中して展開することで、こちらも着実に店舗を拡大させています。そして、2023年には中国本土にも1号店をオープン。中国では「10年で100店舗」を目標にしているようですが、巨大市場への進出が吉と出るか凶と出るか、興味深く見守りたいものです。

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