明徳義塾の馬淵監督が「松井秀喜を5打席連続敬遠した」理由。“勝利へのこだわり”が選手に与えたもの
日刊SPA! / 2024年7月17日 8時51分
・竹内茂夫氏就任時:7勝4敗、春の甲子園に6回、夏の甲子園には2回出場。
・馬淵史郎氏就任時:54勝35敗、春の甲子園に16回(交流試合含む)、夏の甲子園には21回出場。夏優勝1回、 明治神宮野球大会優勝1回。※甲子園初戦20連勝を記録。
◆「今の高校野球の王道」には反しているかもしれないが…
馬淵氏は伝統的なチームづくりを行うが、今の高校野球の王道には反しているともいえる。計算が立つ制球のいい投手を選び、大型のスラッガータイプよりも、小さくても動ける選手を優先し、小回りが利く選手を使うのだ。コントロールが良ければ守備にもリズムが生まれ、打撃にもいい影響が出る。実際のところ、2002年夏の甲子園で優勝した時のエース田辺佑介は、6試合51回2/3を投げて四死球は12だった。9イニング平均で見ると、わずか2.09である。
野手に関しては、守りから鍛えていき、攻撃面では1番打者と3番打者のタイプを多く育て、走力や選球眼、出塁率を重視している。スカウトをする中学生に関しても、パワーや力強さではなく、バランスの良さと足の速さを見ている。基本的には、ディフェンス力を意識しており、派手な野球をして勝ち上がっていくチームづくりではない。
◆ミスを最小限にするチームづくり
これについて、森岡などを擁し、全国制覇を果たした2002年夏のチームに関しても、「2002年に明徳義塾が優勝した時、冬場、一切、打撃をやらなかったんです。打撃練習を1日もやらず、2月末から始めたんですが、その年の練習試合(チーム全体で本塁打を)50本打って、甲子園でも7本打ったんです」と話す。
また、「(2002年夏に)優勝したときは平均身長が172センチやった。ウチが49代表で一番小さかった。体が小さくても守ってつないでいくような野球やってたら、優勝できる可能性もあるということなんよ、野球は。お客さんのために野球やってるわけじゃない。プロはホームラン見たさにお金払って来てて、それで敬遠したら『金払え』と言われる。でも、CSとか勝たないかんようになったら敬遠だって平気でやる。ヤンキースだってやるんやから。オレはトーナメントでやってるんだ。冗談じゃないよ」とコメントするほど、堅い野球を見せる。
このディフェンス力を意識したチームビルディングは、非常に理にかなっている。短期決戦では、いかにミスをしないかを重要視すべきなのだ。プロ野球とは異なり、高校野球なら緊張感やプレッシャー、慣れない球場などから失策はつきものである。
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