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俳優・藤竜也82歳、豊かな生活よりも“気持ちの贅沢”「お腹を空かせてきたから仕事に飽きてない」

日刊SPA! / 2024年7月18日 15時51分

俳優・藤竜也82歳、豊かな生活よりも“気持ちの贅沢”「お腹を空かせてきたから仕事に飽きてない」

北米最大の日本映画祭「ジャパン・カッツ」特別生涯功労賞を受賞した藤竜也さん

「君には使わせたい何かがないんだよ」。来月には83歳を迎える藤竜也が、20代のころ、ある監督から投げられた言葉だという。
「素晴らしいプレゼントになりました」と穏やかな表情で話す藤。こんなドキリとする言葉が“プレゼントに”? しかし、そう受け取れる藤だからこそ、82歳にしてなお求められ、1作ごとに新たな魅力で惹きつけるのだと確信した。

 公開になったばかりの近浦啓による監督・脚本の『大いなる不在』は、すでにトロント国際映画祭やサン・セバスティアン国際映画祭、サンフランシスコ国際映画祭などで高い評価を得ているサスペンス・ヒューマンドラマ。サン・セバスティアン国際映画祭においては、藤が日本人初となる最優秀俳優賞に輝く快挙を成し遂げた。

 自分が幼い頃、母と自分(森山未來)を捨てた父(藤)。その父が認知症を患ったことで久々に再会した主人公が、別人のように変わり果てた父の人生をたどり始める……。本作で、もと大学教授の父を演じる藤の、一瞬、一瞬の表情に驚き、釘付けになる。米時間7月18日には北米最大の日本映画祭“ジャパン・カッツ”で特別功労賞を贈られる藤。日本を代表する名優に話を聞いた。

◆使わせたい“何か”がないんだよな

――これまでに膨大なセリフ、言葉に触れてきたと思いますが、藤さん自身の人生において、揺さぶられた言葉がありましたら教えてください。

藤竜也(以下、藤):20代の頃に、「君のことは使ってあげたいんだけど、使わせたい何かがないんだよな」と、ある監督に言われたことがあります。遠い昔のことですけどね。「使いたい何かがないんだよ」と。

――ええ!?

藤:僕にとって、ものすごく素晴らしいプレゼントになりました。今でも忘れられない出来事のひとつです。

◆自問し続け、自分の考えにたどり着いた

――プレゼントになったのですか?

藤:厳しい言葉かもしれないけれど、若いころ、これから戦おうという青年にとって、ものすごいエネルギーになりました。「何かって何?」という問いかけを、自分にし続けてきました。その監督とは後年、その10年後くらいですかね。主役で声をかけていただきました。ただ当時、ほかの仕事が入ってしまっていたのでお断りせざるをえなかったんですが。非常に素晴らしい監督です。その言葉はずっと胸に置いていますし、考え続けることで、自分自身の考えにたどり着きました。

――というと。

藤:何もないほうが、俳優はいいんだと。余計なものがあって、入れ物がいっぱいだと、いただいた役を入れるときに困るわけです。だからなるべく空っぽにしておいがほうがどんどん入って来る。

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