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世界195か国の憲法を研究して知った「世界の変わった憲法」7選

日刊SPA! / 2024年7月20日 8時51分

「2008年に初めて成典化憲法が誕生しました。最大の特色は、国民総幸福量(GNH)を掲げていることです。

『国家は、国民総幸福の追求を可能とする諸条件を推進するために努力する』(9条2項)

 また、特異な規定として、65歳になれば後継者に譲位しなければならないという、65歳定年制を定めていることと(2条6項)、国王が憲法に恣意的に違反した行動をとったときは、両議院からなる合同会議の総議員の4分の3以上の多数で決議し、さらに国民投票により過半数の承認があれば、国王は退位しなければならないと定めていることです(2条20~25項)。

 このような国民投票による国王の罷免を規定している君主制国家は、ほかにありません。憲法の作成にかかわった啓蒙的なジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク現国王の意向が反映されていると言われています」(西教授)

◆④家畜の保護を定めるモンゴル国憲法

 大相撲でも馴染みがあるモンゴル国。同国出身の横綱は、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士の5人を数える。

「ロシアと中国に囲まれた内陸国で、日本の約4倍の地にわずか約345万人(2022年)しか住んでいません(人口密度は世界最小の2・21人/平方キロメートル)。

 モンゴルでは1992年1月に新憲法が採択されました。特異な規定は『家畜は、国の富であり、国の保護のもとに置かれる』(5条5項)という条項です。

 遊牧民の多いモンゴル人にとって、家畜(牛、馬、羊、ヤギ、ラクダなど)は、生活にとって不可欠な存在です。家畜数は、約6734万頭(2021年)で人間の約20倍に相当します。憲法に明記する価値があると考えられたわけです」(西教授)

◆⑤「国の動物」を定めるネパール憲法

 中国とインドに囲まれた内陸国のネパール。

「2008年5月に行われた憲法制定議会の初会合で君主制を廃止し、共和制へ移行、同時に国名を『ネパール連邦共和国』に改称し、その後、2020年12月に『ネパール』とすることに決定しました。

 憲法は、7年にわたる制憲議会での審議の末、2015年9月に公布されました。従来、ヒンズー教を国教としてきましたが、『非宗教国家』と規定(4条1項)、一方で『国の花はシャクナゲ、国の色は深紅、国の動物は牛、国の鳥はロフォフォラスとする』(9条3項)の規定は、従来の憲法のままです。

 牛はヒンズー教徒にとって、聖なる動物であり、崇拝の対象物とされています。同国のヒンズー教徒は81%です。『非宗教国』と『国の動物は牛』条項とどんな関係にあるのでしょうか。

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