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世界195か国の憲法を研究して知った「世界の変わった憲法」7選

日刊SPA! / 2024年7月20日 8時51分

 私がかつてネパールのカトマンズを訪れたとき、牛が道路の真ん中を悠然と闊歩し、寝そべっていました。車は牛をはねないように徐行し、渋滞に陥っていました。日本では絶対に見られない光景でした」(西教授)

◆⑥動物愛護のスイス連邦憲法

「世界でもっとも厳しい動物保護法を有するのは、スイス連邦だと言われています。その原点は、1874年憲法25条の2(1893年8月21日の憲法改正により導入)にあると思われます。動物に苦痛を与えて殺処分をするのは残酷だという意識が働いていたようです。

 現行の1999年憲法には、80条に(動物愛護)という見出しのもとに、連邦は動物の保護について、法令を制定することを定めています。これらの憲法規定は、国民投票によって採択されたものです。

 憲法の規定を受けて制定された動物福祉法は、動物の福祉と尊厳を保護することを原則とし、違反者には動物を飼育すること、繁殖させること、取引することなどを禁じています。スイスで生まれた動物たちは、自分たちの恵まれた環境に大いに満足しているのではないでしょうか。ただし、外国と比較することのできる能力を持っていれば、という話ではありますが。

 直接民主制を重視してきたスイスでは、国民投票が頻繁に行われることで知られています。

 憲法改正は、国民発案の場合、全面改正にしろ、部分改正にしろ、18か月以内に10万人の有権者によって発議されます。

 2018年11月25日、牛を愛する1人の畜産農家が10万人の賛成を得て、牛の角を切らないよう、また角を生やした牛を飼育している農家に対して、1頭あたり年間190スイス・フラン(当時の換算で約2万1500円)の補助金を与えるようにする憲法改正案を発議しました。

 同国では、牛の角を切る『切除』は他の動物や飼育者にとって安全で、飼育面積も狭くてすむので、普通に行われています。切除は焼きごてなどを使用するため、動物愛護団体は『動物にひどい痛みを与えるのは可哀そうだ』と唱えて、憲法改正案を支持しました。結果は、反対約55%、賛成約45%で否決されました。日本でこんな憲法改正案の提案は、まったく考えられませんね」(西教授)

◆⑦インドの国名は二つ

 いまや人口世界一となり、目覚ましい経済成長を遂げるインド。実はインドには国名が2つあるという。

「インド憲法(1949年)1条には『インド、すなわちバーラトは、諸州の連邦である』と定め、連邦名にインドとバーラトの二つを当てています。英語で同国を表示するときは『インド』とし、ヒンディー語を使用する場合は、『バーラト』と呼んでいます。バーラトとは、インド連邦を意味するヒンディー語です。

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