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永野芽郁が“まだ24歳”で驚いた。腰の座った演技は「ベテランの域に達している」

日刊SPA! / 2024年8月3日 8時52分

◆ブレイク前夜の映画作品

雨が降る。屋根付きの休憩所で雨宿り。やや急な展開だが、ひとつ屋根の下に男女が身を寄せ合うのは、ラブコメ映画の定番シチュエーション。雨で湿る身体。人知れず、官能的な空間が出現する。

可憐な永野芽郁に官能要素とは意外に思うかもしれないが、新城毅彦監督はおそらくエリック・ロメールのフランス映画『クレールの膝』(1970年)で男女がいっとき雨宿りする休憩所の官能をまさかのラブコメ映画で再現し、雨降り場面で活性化する永野の特徴を引き立てていると思ってしまうのだ。

『ひるなかの流星』の翌月公開の『PARKS パークス』も特筆しておかなければならない。『ひるなかの流星』と合わせて、『半分、青い。』で決定的なブレイクを果たす前夜の映画作品だ。井の頭公園100周年を記念して製作された同作のメイン舞台はもちろん井の頭恩賜公園。主演の橋本愛が木漏れ日が差す公園内を自転車で疾走するだけで感動的だが、それと平行して電車内でつり革からつり革へ揺れ動く永野の動的な均衡が素晴らしい。永野が動くだけで、物語が立ち上がり、映画が成立してしまうようなきらめきがある。

◆「ちゅんちゅん」から「キュンキュン」へ

『PARKS パークス』の有機的な画面にしろ、官能の空間を突出させた『ひるなかの流星』にしろ、いずれもフランス映画的な瞬間を感覚的にすくい上げている。ブレイク前夜の永野は、そうして日本映画界に瑞々しい足跡をつけた。

『ひるなか流星』ですずめのあだ名となった「ちゅんちゅん」呼びが、永野にとって決定的な響きになったことが再確認出来たのが、主演最新作『からかい上手の高木さん』である。『ひるなかの流星』では三浦翔平演じる担任から「ちゅんちゅん」と呼ばれていたものが、『からかい上手の高木さん』では近い響きの「キュンキュン」を永野自ら発することになるからだ。

中学生時代を過ごした島に教育実習生として里帰りした高木さん(永野芽郁)が、中学教師・西片(高橋文哉)と再会し、同級生の結婚式帰りに海辺を歩く場面。並んで歩くツーショットをカメラが正面から長回しで捉える。西片は高木さんに付き合ってる相手がいるのかどうかと考えている。高木さんは中学生時代から西片に気がある。でも西片は気づいていない。西片の気持ちを察してか、高木さんが「ドキドキ、キュンキュン」と歌う。「ちゅんちゅん」からこの「キュンキュン」へ響きが変わる瞬間、軽やかな才人ぶりを垣間見た。この響きの先、永野芽郁の可憐な姿が、ずっと思い浮かぶのだから。

<TEXT/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションでR&B部門を立ち上げ、企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆。最近では解説番組出演の他、ドラマの脚本を書いている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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