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高校時代の“目の整形“が転機に…今では「一晩800万円売り上げる」敏腕経営者が明かす過去

日刊SPA! / 2024年8月14日 15時54分

◆「諦めなかったから」成功できた

 この業界で働くにあたって、レズビアンバーのみならず夜の職業の見習いを経験したというヒロコ氏は、こんな思いを打ち明ける。

「正直に言えば、男性を相手にするとき、これまでの劣等感の裏返しとしての優越感がありました。私は男性からずっと虐げられてきて、罵られてきたから、『男性が今、まさに私にお金を使っている』という類の、ある種の復讐心も混じっていたと思います。けれども、『楽園』においては、さまざまなお客さんが少なくはないお金を使ってくださることに対して、『価値に見合う楽しませ方をしよう』とポジティブな感情で向き合うことができています」

 ヒロコ氏がいじめ被害に遭っていた過去を告白し、現在の成功と併せて語る意味とはなにか。

「今、必ずしも人生が楽しいと思えなくて、誰にも打ち明けられない気持ちを抱えている人は多いと思います。私自身、多くの男性から『ブサイク』と罵られてきた過去があり、とても水商売で成功するような容姿ではありませんでした。けれども、足を運んでくれるお客様の心に向き合って、満たしてあげたいと本当に思えたとき、サービスが価値を帯びて売上も伴ってきたように感じます。

 私のような、勉強も運動もできない地味な人間が夜の街で一定の成功を収められたのは、ひとえに諦めなかったからでしょう。孤独感や喪失感を抱えた人たちが扉を開けてくれるたび、元気づけたくなるんです。その繰り返しの先に、今の私があると思っています。だから現状がどんなに悲惨であっても、『自分がやりたいことを諦めないで』と伝えたくて、すべてを公開するようにしているんです」

◆私が生きているうちは無理かもしれないけれど…

 レズビアンという性的マイノリティの立場からエンターテイメントを発信する立場として、世の中に対するこんな視座も提示する。

「多様性が謳われ、柔軟性を獲得したかに思える社会ですが、世間の多くの人が『多様性が認められているからよかったね』という感想以上の思考をやめてしまっている点をとても不安に思っています。たとえばパートナーシップ条例が施行されたとしても、公正証書を作成するには少なくない費用がかかります。それなのに相続などは認められないですよね。男女カップルでは当たり前に認められている権利と同じ水準にいくには、まだ時間がかかります。私が生きているうちは無理かもしれないけれど、もっとのちの社会には本当の平等が達成されていることを夢見ています」

 ヒロコ氏の見渡す世界は広く深い。存在を無視され、さまざまなものを剥奪されて生きた学生時代の経験が、彼女のなかに創造の種を蒔いた。それを美化することも矮小化することもなく、ひたすら自らの傷と向き合って表現し続けた先に、性的嗜好を同じくする者たちが集う空間が現出した。

 不安に苛まされ、打ちひしがれたすべての女性にとっての、『楽園』。人から疎まれ、受け入れられなかった経験だけが織りなせるサービスの境地が、ここにある。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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