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かつては「練習中に水を飲むな」と言われていたが…高校野球の名将2人が思う「夏の甲子園開催の是非」

日刊SPA! / 2024年8月22日 8時50分

◆休むことで得られるもの、失うもの

小倉:ただ、一つだけ言わせてもらうと、この休養日はプラスもあればマイナスになる一面もあるんです。プラスになるのは投手が休めることで体力が回復する。これは誰しもが考えられるようなことですよね。

 打者にはマイナスに影響することもあるんです。01年夏の甲子園で三高は決勝まで進んだんですが、準決勝で横浜に7対6で勝った。翌日に本来であれば決勝戦が行われる……はずだったんですが、翌日は雨で近江(滋賀)との決勝が1日順延になったんです。そうしたら打者連中が、「バットが重く感じます」と言ってきた。1日休むことで感覚が変わったんでしょう。このときは「準決勝の翌日に決勝をやらせてあげたかったな」という思いもありましたね。

前田:翌日の試合に勝ったとは言え、そんなことがあったんですね。たしかに1日の休みで打者の感覚が変わってくるということはあるのかもしれない。

小倉:休むことで得られるもの、失うものは間違いなく出てきます。打者の感覚を鈍らせないようにするためには、練習で補うしかない。そうなると「何のための休養日なんだ?」ということになりかねません。その点については、日本高野連が甲子園でベスト4以上に進んだ学校からヒアリングをして、今後のルールづくりの参考にしていってほしいですね。

◆「練習中に水を飲むな」は今は絶対にダメ

前田:選手のコンディションを考えた水分補給は大切になってくる。私や小倉さんが選手だった時代は、「練習中は水を飲むな」と言われてきたけど、今そんなことをやったら脱水症状はもちろんのこと、最悪のケースとして命を落としかねない。「昔の常識、今は非常識」なことは、これからはどんどん排除していくべきだと思うね。

小倉:私は夏の試合中の給水タイムについては賛成しているんです。18年夏の甲子園の1回戦で、三高が折尾愛真と対戦したとき、こんなことがあったんです。7回裏の攻撃終了時点で給水タイムをとったんです。このとき「春夏通じて甲子園史上初めて試合中の給水タイムが設けられた」と言われましたが、実はその前の段階で主審が熱中症になっていたことに気づいたんですよ。

 初めは、試合の序盤に捕手のうしろで球審の頭が揺れているような感じがしていたんです。後半に入ると、明らかに体がフラフラしているのが、一塁側のベンチからもよくわかった。そこで私が一塁の塁審に「球審がふらついていますよ! 大丈夫ですか?」と大声を出して伝えて、そのあとすぐに「球審が危ない」ということになって、急遽給水タイムを設けたんです。うちの選手たちにも水分補給をするように指示を出しましたが、私は球審の体調を心配していました。

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