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「世界の中でも日本の財政は超健全」元内閣官房参与・髙橋洋一がそのワケを解説

日刊SPA! / 2024年8月24日 8時50分

 こうした事実から導かれる結論は、大きな借金を抱えた利払い問題は、同等の大きさの資産を持っていれば、資産からの金利収入で解決できるということだ。

 またレポートには、日銀を含まない政府単体のBSのネット資産対GDP比も示されている。ここでも日本は若干マイナスだが、ギリシャやイタリアと比較しても、それほど悪くない数字だった。

◆海外の専門家は知っていた、日本の財政赤字の大部分が無効化されている事実

 この調査の結果、ネット資産は単純に赤字国債を発行するだけだと減少してしまうが、研究開発費など投資に回せば減少しないことがわかった。

 一般政府の純資産対GDP比と、前項で説明した、その国の信用度を表すCDSレートにはかなりの相関がある。ここから筆者は、日本が5年以内に破綻する確率は1%未満だと結論づけたわけだが、日本のネット資産がほぼゼロであることと整合している。

 こうした話は、海外の専門家も同様に認識していた。彼らは、日本の財政赤字の大部分は無効化されていると指摘していたが、日本の経済・財政学者は、海外の専門家の認識が誤っていると主張していた。

◆財政破綻の可能性を理由に実行されてきた愚策の数々

 さらには、財政破綻の可能性を理由に、これまで政府によって様々な愚策が実行されてきた。その一例が消費増税だ。

 しかし、統合政府BSが公表されたことで、最近はその論法も使えなくなったようだ。代わりに、将来の年金や社会保障のために増税する、という別な言い方がされるようになってきた。

 財政破綻論者は、消費増税に積極的だったり、財政再建を主張したり、インフレ目標を否定したりする立場をとることが多い。しかし、社会保障の財源として消費税を設定することは、少なくとも税理論や社会保障論からみても不適切だというのは明白だ。

◆債務の増加による財政再建の必要性を説く“根拠”として扱われた論文があった

 債務が増えると経済成長の足かせになると指摘した、ある有名な論文がある。

 それは2010年、ハーバード大学のカーメン・ラインハート教授とケネス・ロゴフ教授が発表した公的債務に関する研究だ。

 その論文では、国の公的債務残高がGDP比で90%になると、平均実質成長率がマイナス0.1%になるという結論が導き出されていた。この「90%」という数字が独り歩きして、緊縮財政の論拠としてたびたび使われるようになった。

 IMFをはじめ国際機関でもこの論文は重宝され、財政再建の必要性を説く根拠として扱われた。しかし、経済学者の間では異論が出ていた。

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