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「世界の中でも日本の財政は超健全」元内閣官房参与・髙橋洋一がそのワケを解説

日刊SPA! / 2024年8月24日 8時50分

◆借金の大きさと経済成長率は無関係

 プリンストン大学のポール・クルーグマン教授(当時)は、公的債務が増えると経済成長が低下するのではなく、むしろ経済成長が低下することで公的債務が増えると指摘した。

 また、イタリアと日本を除く主要国首脳会議(G7)各国の、公的債務残高対GDP比と実質成長率には相関関係がないことも示した。

 議論の焦点は、果たして公的債務がGDP比で90%になると平均実質成長率がマイナス0.1%になるのか、また公的債務が増えると実質成長率が低下するという因果関係があるのかの二つだった。

◆公的債務残高対GDP比を用いて、国の経済成長率について論じるのは、ほとんど意味のないこと

 例えば、マサチューセッツ工科大学の研究では、実際の平均実質成長率は2.2%で、ラインハート/ロゴフ論文の数字に誤りがあると指摘された。しかも、一部のデータが意図的に除外された疑いも示唆していた。

 因果関係については、筆者もかつて分析したことがある。1971年以降の日本、イタリア、ドイツ、フランス、米国などの17カ国について、実質GDP成長率と公的債務残高対GDP比の相関係数を計算したところ、結果はマイナス0.19だった(図f-1)。

 相関係数は、0以上0.2未満で相関がほとんどないことを示し、0.2以上0.4未満なら弱い相関、0.4以上0.7未満では中程度の相関、0.7以上では強い相関があると考えるのが一般的だ。

 相関係数がマイナス0.19というのは、実質GDP成長率と公的債務残高対GDP比にはほとんど相関がなく、因果関係もないことを示している。

 イタリアと日本にはわずかに相関がありそうだったので、その2カ国を除いた15カ国で再び統計処理をしてみると、相関係数はマイナス0.11まで低下した(図f-2)。つまり、公的債務残高対GDP比を用いて、国の経済成長率について論じるのは、ほとんど意味のないことがわかった。

◆政府資産を売却せずに増税や緊縮政策を行うことによって経済成長が阻害される

 前述のラインハート/ロゴフ論文の誤りが指摘されたことで、緊縮財政の機運はやや和らいだ。しかし、消費増税を見送ると財政再建が遅れるという考えに固執する、増税派の経済学者はまだ日本には多い。

 なぜ、彼らはそこまで消費増税にこだわるのか。その答えは、増税派が「横断性条件」という経済モデルにとらわれていて、それを根拠にしているからだ。

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