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『地面師たち』ダーティな犯罪者に“なぜか惹かれてしまう”理由。被害者が相次いでも「気が滅入らない」

日刊SPA! / 2024年8月29日 8時49分

■交渉役・辻本拓海(綾野剛)。架空の土地取引の現場責任者。騙す相手たちとの交渉を行う。元不動産業。横浜で父親が経営していた零細不動産会社で営業をやっていた。人間を信じる気持ちを失っていない。

■法律屋・後藤義雄(ピエール瀧)。架空とはいえ土地取引には各種証明書や書類が必要になる。このため、不動産関係の法律に明るい人間が不可欠。後藤は元司法書士。言葉は荒々しい関西弁だが、妻子思いの一面もある。

■手配師・稲葉麗子(小池栄子)。本物の土地所有者になりすます人物を探す。仕事熱心。なりすましを依頼した人間への思いやりもある。

■ニンベン師・長井(染谷将太)。偽造屋とも呼ばれる。偽りの土地所有者の免許証やパスポートなど諸書類を片っ端から偽造する。長井は詐欺の現場に同席しないためか罪の意識は薄い。

■図面師・竹下(北村一輝)。詐欺のターゲットとなる土地の情報を入手する。本物の土地所有者の身辺調査も行う。薬物中毒者で気が荒い。

◆小説を原作にしたことで生まれた“遊び”

 それぞれの役割が違うだけでなく、個性も異なるものに出来る。やはりドラマに向く。2010年代以降、地面師の存在に注目が集まりつつあったことも追い風になったに違いない。まずアパホテルの関連会社・アパが2013年、東京・赤坂2丁目にホテル用地377平方メートルを取得したところ、それが地面師の仕組んだ架空取引であることが分かり、話題になった。アパ側は12.6億円を騙しとられた。

 2017年には積水ハウスが55億5000万円を騙し取られた。東京・西五反田2丁目に約2000平方メートルの土地を購入したはずが、詐欺だった。こちらも世間の関心を集めた。

 リクルート出身の作家・新庄耕氏(40)が、積水ハウスの事件をモデルにした小説『地面師たち』を書いたのは2019年。このドラマの原作だ。それを大根仁氏(55)が脚本化し、監督した。原作がノンフィクションではなく、小説だったのも勝因の1つに違いない。原作がノンフィクションだと、事実と合わせることで平板化しかねない。物語に遊びの部分が設けにくくなる。

 大根氏が脚本・監督を担当したのもヒットの理由だろう。大根氏はテレビ東京『モテキ』(2010年)などのコメディを撮る一方、フジテレビ系の社会派作品『エルピス-希望、あるいは災い-』(2022年)を監督した人。硬軟自在である。『地面師たち』も息を飲むようなシーンの中に、くすりとくる1コマが挿入されている。だから被害者が相次ぐ犯罪ドラマでありながら、観ていて気が滅入らない。大人向けのエンターテインメントに仕上がっている。

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