2歳児のインターネット利用率が「58.8%」…スマホに慣れた子どもは「リアルな遊びに興味を示さない」
日刊SPA! / 2024年9月1日 8時52分
また、親が忙しく、つきっきりで面倒をみてあげられなければ、ハイハイは怪我のリスクのある動きとなってしまう。それゆえ、親は子どもにハイハイをさせず、赤ちゃん用歩行器に乗せた後、一足飛びに歩行へと移行させるのだそうです。こうなると、子どもたちは体幹も筋力も十分に育たたないまま歩きだすようになります。そうなれば怪我のリスクは高まりますし、基本的な力がついていないので身体能力の成長が妨げられてしまう。そうしたことで運動能力の低下が顕著になっているというのです。
◆「固形物をちゃんと食べられない子ども」が増加
ーー家庭環境が大きく変わったことで、子どもたちの身に色んな変化が生じているんですね。
石井:ルポの中で紹介した別の例でいえば、3歳、4歳になっても、固形物をちゃんと食べられない子がかなり増えてきています。固形物をちゃんと噛んで飲み込めないので、のどに詰まらせてしまう。そのせいで、保育園によっては、ある程度の年齢になってもドロドロとした離乳食のような食事を提供しているところもあります。誤嚥事故の防止のためです。こうしたことが起こる原因として、先生が指摘するのが親の多忙さです。通常、固形物を食べられるようになるには、親が何カ月もつきっきりその方法を教えなければなりません。
毎日「あーんしようね」「もぐもぐしてね」「ゴックンしようね」と声をかけ、自分でもやって見せる。でも、親が多忙さゆえにそれをしなければ、子どもは固形物を食べる方法が身につかない。それで、誤嚥事故が起こるというのです。
本書のタイトルは『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』と「スマホ」という言葉がついていますが、これは子どもたちを取り巻く環境の変化の象徴としてタイトルに組み込んだだけで、多面的に子どもたちの変化を描いていると考えていただければと思います。
◆「スプラトゥーン」のほうが面白い?
ーーご著書の中の、スマホやゲームの刺激に慣れて、リアルな遊びに興味を示さない子が増えているという指摘に驚かされました。公園へ連れて行っても、一定数の子たちは立ちすくんでしまうとか。
石井:私はゲームやスマホが悪いとは思いません。適度に使用するなら良いものです。半面、ゲームにせよ、ショート動画にせよ、ものすごく刺激の強いものです。それを一日に何時間もやることによって嗜癖となって抜け出せなくなると、これはこれで問題が生じます。
某保育園で、こんなエピソードがありました。ある日、先生が、子どもたちに紙で制作した大きな恐竜に、色を塗らせようとした。すると、子どもたちが「やりたくない」「おもしろくない」と言いだした。先生がなぜかと聞くと、子どもはこう答えたそうです。
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