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「こんなに売れないとは…」クルマのサブスクKINTOが“苦境の初年度”を乗り越えて「10万人に選ばれる」まで

日刊SPA! / 2024年9月6日 8時52分

◆立ち上げ当初は「こんなに売れないとは思わなかった」

 だが、2019年2月にKINTOを立ち上げ、クルマのサブスク事業に参入したものの、初年度の申し込み台数は1,200件程度にとどまった。

「こんなに売れないとは思わなかった」

 曽根原さんは当時の苦労を次のように語る。

「『まだクルマ買ってるんですか?』というキャッチフレーズを掲げた奇抜なテレビCMを打って話題喚起を狙いましたが、当初は日に数件の申し込みしかありませんでした。事業を始める前にイメージしていたものとのギャップをすごく感じていましたね。

 やはり、クルマのサブスクが新しい形態ゆえにお客様も怖くて申し込みづらく、販売店で働く現場のスタッフからの理解を得られないと売り上げが伸びないのを痛感しました」

◆失敗を恐れない新規事業の発想と実行力が成長の鍵になる

 そこで行った企業努力が「高速でPDCAを回すサービス改善」と「連続的なサービス拡充」の2つだ。

 ユーザーの要望や意見、潜在的なニーズを汲み取り、モビリティプラットフォームとしての付加価値を増やしていくために、新サービスを“矢継ぎ早”にリリースしてきたと曽根原さんは述べる。

「失敗したらやめる。良さそうだったら続ける。このような方針のもと、さまざまな新規事業を発表してきました。取り扱い車種の拡大や法人受付の開始、サブスク契約期間中に新しいトヨタ車に乗り換え可能な『のりかえGO』、契約者様向け優待メニューもある『モビリティマーケット』、純正オプションを販売店で後付けできる『KINTO FACTORY』など、3年間で9つの施策を実施しています。

 社長の小寺がアイデアマンで、何かの拍子に事業のアイデアやシーズが思い浮かぶと、新規事業の候補案としてストックしているんです。今でも20~30個くらいの事業アイデアがあって、事業性があればプロジェクト化していきます」

 サービスを多角化するのは、新しいモビリティカンパニーのプラットフォーマーとして、サブスク以外にも取り組むべき事業があると捉えているからだ。早期成長を実現するためには「走りながらサービスの品質改善や拡充を繰り返す」ことが重要になってくるわけだ。

◆人生で“最初”と“最後”のクルマをKINTOに

 また、KINTOのメインターゲットとなる若年層へのコミュニケーションもテコ入れを図ってきた。

 企業視点による「新規性やサービス名」を打ち出すのではなく、顧客視点に立った「共感や楽しい世界観」が伝わるように訴求軸を変え、さらにはテレビCMだけではなくYouTubeやTVerでの広告配信を行うなど、若年層へのアプローチも工夫を凝らしてきた。

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