昔の面影がなくなった大阪「黒門市場」…インバウンド価格で“儲け主義”に走った先に訪れる未来
日刊SPA! / 2024年9月9日 8時54分
政府は外国人観光客を増やして観光立国にし、失われた30年でデフレ慣れした日本国内を刺激し、インフレ傾向に誘導するのが狙いだろう。官民一体となって力を入れるであろう。
ちなみに2023年の海外における日本食レストランは、2021年の約15.9万店から約2割増の約18.7万店だ。推移は約2.4万店(2006年)→約5.5万店(2013年)→約8.9万店(2015年)→約11.8万店(2017年)→約15.6万店(2019年) →約15.9万店(2021年)→約18.7万店(2023年)と、年々順調に増えている。
地域別増減は、アジア約2.1万店増、中南米約0.7万店増、欧州約0.3万店増、北米約-0.3万店である(令和5年11月21日農林水産省発表)。
◆昔の面影がなくなった大阪「黒門市場」
現在の大阪ミナミや新世界などの観光地は、訪日外国人観光客が多すぎて前が歩けない状態だ。日本人を探すのが大変になっている。インバウンドは低迷する日本経済を活性化させてくれるが、良き伝統や文化を消滅させる場合もある。
大阪の台所を代表してきた「黒門市場」(大阪市中央区)も訪日外国人旅行者で溢れており、彼らをターゲットにした飲食店が増えている。黒毛和牛、新鮮魚介類などを販売する小売店がイートインスペースで飲食させており盛況だ。
高いお金を払っても日本の高級食材を食べることでステータスを感じたい外国人のお金の使いぶりは半端ではなく、1本4000円の神戸牛串を何本も注文し、大トロで有名な店には若い外国人カップルで行列ができている。
商店街は高級和牛店、高級寿司店、高級マグロ店、タラバガニなど海鮮焼き店を販売する店でテナントミックスになっているようだ。その結果、地元客はあまり来られない商店街になっている。
◆昔はこんな商店街ではなかった
そもそも黒門市場は、天下の台所と呼ばれた大阪で、新鮮な魚や野菜が揃うから、買い物客に親しまれてきた市場だ。しかし、バブル崩壊し、勢いを失ってしまった。
だが、インバウンド需要が2011年頃から増え始め、黒門市場の来街者はコロナ前の2019年には1日あたり約3万人と2.3倍に増えた。商店街には、外国語(中国語、韓国語)が飛び交い、本場の神髄を極めた「ほんまもん」の食べ歩きが訪日外国人観光客の観光スタイルとして定着し話題になった。
それを千載一遇のチャンスとばかり、その訪日外国人観光客のニーズに合致した商品を揃え、儲け優先主義に徹した店舗が増えてきたのである。しかし、そうやって活況を呈していたところにコロナという不測の事態が発生した。コロナによる緊急事態宣言ですべてが止まってしまい、新規参入店が撤収し空き店舗が増えた。
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