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認知症の母の死後に妹弟が「家を売却しろ」。“売れない家”が招く泥沼の相続トラブル

日刊SPA! / 2024年9月11日 15時53分

丸岡:固定資産税というのは、更地のままだと高いのです。ですが、そこに人が住むための建物があることで課税額が6分の1に下がるのです。以前は、空き家であっても6分の1で据え置きだったのが、空き家問題が深刻化したことで法が改正され、更地同様の扱いになることがあるわけです。

 放置された空き家の何が問題かと言いますと、例えば、そこが犯罪の拠点になる、放火される、ごみが投棄される、雑草がはびこる、悪臭が発生するなどして、近隣住民が大きな迷惑をこうむるのですね。

 また、空き家が近くにあるだけで、周囲の家の価値が下がることがあります。おとなりが草ぼうぼうの空き家だったら、そこに住みたいかと思ったら、躊躇なさるはずです。それで、周辺の不動産の価値が下がるということにつながってしまいます。国もそれを憂慮して、問題のある空き家を自治体が指定し、固定資産税のペナルティを課せるようにしたのです。

◆空き家のマッチングサイトを活用するのも手

――固定資産税の重荷を回避するにはどうすればいいでしょうか?

丸岡:対処法はいくつかありますが、1つには、空き家を売買する自治体や民間のサービスを積極活用することがすすめられます。弊社も空き家をマッチングする「空き家のURI・KAI」というサイトを運営しています。

 また、コロナ禍が起爆剤となって、ここ数年の間に地方に移住したいという人が増えています。その移住先として空き家に目が向けられているのですね。それからDIYが流行ってきて、多少は家を自分で補修できる人も増え、少しくたびれた空き家も移転先の候補にする例が多いのです。

 それから、空き家を買い取ってリフォームし、自分は住まず賃貸住宅とする人も出てきました。少しでも賃料収入が入ってくるので、こういう物件を何軒か所有して、それだけで食べていける方もいます。こうしたニーズがどんどん出てきて、空き家所有者に明るい材料もあるのです。どうせ売れないと考える前に、なにかしら手を打ってみましょう。

<取材・文/鈴木拓也>

【丸岡智幸】
株式会社ネクスウィル代表取締役。1983年生まれ。大手電力会社に約10年勤務の後、不動産会社で投資用アパートの販売業務などに従事。2019年に独立して、ネクスウィルを創業。訳あり不動産の買い取りサービス「ワケガイ」や、訳あり不動産のオンラインマッチングサイト「空き家のURI・KAI」のサイト運営もする。訳あり不動産が社会問題化するなか、そうした不動産を取り扱うリーディングカンパニーとして注目されている。著書に『拝啓 売りたいのに家が売れません』(自由国民社)がある

【鈴木拓也】
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki

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