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「まさに老人天国」“やりたい放題の高齢者”だらけの職場で働くシングルファザーの叫び

日刊SPA! / 2024年9月17日 15時53分

◆1階から12階まで200程あるごみ箱を1人で…

 吉井はまず、18時から20時までごみ回収をする。1階から12階まで200程あるごみ箱を1人で周る。「燃える」「燃えない」「ペットボトル・缶・びん」の箱にあるものをそれぞれのビニール袋に入れ、台車に乗せ、地下1階のごみ集積所に運ぶ。2時間ですべてを終えるために、小走りで動く。夏は全館冷房だが、水をかぶったくらいの汗をかく。

 とにかく、分別が出来ていない。目立つのが燃えるごみの中に、缶やペットボトルが入れてあるもの。挙げ句に正露丸や便秘薬のビンも放り込んである。

「最も困るのは、家庭用のごみを入れてある時。家で捨てると、分別が出来ていないから区や市の清掃車が持っていってくれない。だから、職場のごみ箱に持ってくるのだと思う。たとえば、パンティーに血やしみ、ウンチがついたもの。1級建築士の資格試験のテキストに食べ残しのパンやハムのかけらがはさまっていた場合もある。これらを分別するのは臭いが強く、手がただれ、時間がかかる」

 粗大ごみになるはずの30センチを超える電化製品が、燃えるごみに突っ込まれている時もあった。吉井は「捨てた者勝ち。無責任な奴のやりたい放題」と怒る。1年半前にコロナに感染し、40度近い熱で数日間苦しんだ。次男も感染した。感染源は、このゴミだと思っている。だが、所長は認めない。

◆ゴミ回収するのは“若手”の役割

 さらに理不尽なのは、ゴミ回収をするのは60歳前の男性に限られていることだ。70〜80代の男性15人は一切しない。15人は地下1階から15階までの廊下や階段、エレベーター、エントランス、駐車場を担当する。各階のトイレを女性7人が担当する。70~80代の15人の担当範囲は、吉井や女性よりはるかに狭い。吉井が、ごみ回収で館内を回るとそれぞれの動きがよく見える。

「ある者は廊下の隅でスマホをじっと眺めていたり、電話をしている時もある。誰もいない階段に座り、うたた寝をしている者もいる。所長が見回りに来ると、仕事中のふりをする。所長は15人には甘い。だから、こんなハードな職場で15人は平均10年勤務する。まさに老人天国。60歳以下は、数年で退職する」

 15人は徒党を組み、手を抜きたい放題になる。仕切り役の78歳の井本に指導をする権限はないのだが、吉井らに説教をする。コロナで数日休み、出社した際に「休まれると、迷惑。あなたの仕事をフォローしないといけない。自分たちの担当が増え、時間がタイトになる」と叱る。吉井は、バカバカしくて言葉が出なかった。

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