“論争”は続くが「味の素」が絶好調な理由。2年連続で「平均2.1万円以上の賃上げ」も実現
日刊SPA! / 2024年9月26日 8時53分
J_News_photo - stock.adobe.com
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
2023年3月期に2桁増収となった味の素が、その後も堅調に業績を拡大しています。2024年3月期に売上高と本業での利益を表す事業利益は過去最高を更新。今期も増収増益を予想しています。好調の主要因は、主力商品である調味料・食品の値上げ。
味の素は賃上げにも積極的であり、調味料トップメーカーとして進むべき方向性の一つを示しているように見えます。
◆売上高1兆1000億円台の停滞感を突破
2024年4-6月の売上高は、前年同期間比7.7%増の3655億円、事業利益は同0.5%増の430億円でした。今期は通期の売上高を前期比6.1%増の1兆5270億円、事業利益を同7.0%増の1580億円と予想しています。
通期予想に対する進捗率は、売上高が23.9%で、事業利益が27.3%。売上の進捗がやや弱含んでいるように感じます。しかし、2024年3月期の同期間における通期実績への進捗率は23.6%。6%もの増収を見込んでいる今期計画達成に向けて好調なスタートを切ったと言えるでしょう。
味の素は調味料や食品、冷凍食品が売上高のおよそ8割、事業利益の6割程度を占めています。2024年3月期は、日本国内における調味料や加工食品の単価が5%上昇。販売数量はほぼ横ばいだったため、売上も5%アップしました。海外は単価が6%上がり、数量が3%増加したため、売上は9%高まっています。
インフレによる原材料高という悪材料があり、国内では80億円の利益下押し要因になっているものの、値上げ効果によって92億円押し返しました。
◆買い控えを恐れず値上げを断行
味の素は2022年6月に味の素、10月にアジシオなどの調味料の値上げを実施。2023年1月に主力商品である味の素を再度値上げしました。その後もマヨネーズやだしパック、業務用コンソメなどの価格改定を実施しています。
2024年1月に藤江太郎社長が日本経済新聞のインタビュー(「日本は安すぎ、値上げはもう謝らない 味の素社長の決意」)に応じ、「日本はあらゆる価格が安すぎる」「値上げしたら謝るのは世界で日本企業ぐらいだ」と強気の発言をしたことが話題となりました。
この発言を裏付けるように、味の素は2024年にも中華調味料「Cook Do」などの家庭用・業務用調味料の価格を5~16%も引き上げるなど、度重なる値上げを行いました。
この記事に関連するニュース
-
味の素 国内食品の利益率低下で「打ち手」 コーヒーはスティック、粉末にシフト 藤江社長が方針
食品新聞 / 2024年11月18日 10時1分
-
大手スーパーで減益、赤字が相次ぐ異常事態の深層 メーカーと消費者の「板挟み」で苦しい経営に
東洋経済オンライン / 2024年11月16日 8時0分
-
マックスバリュ東海、上期決算増収増益を支えるDX戦略とは?
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月14日 20時55分
-
「賃上げに積極的」も「希望退職者3000人以上」の富士通。“日本の常識”を覆す大胆な施策に要注目
日刊SPA! / 2024年11月14日 8時53分
-
減益SM相次ぐなか中間決算絶好調のヤオコー、増収増益記録更新に向け視界良好!
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月11日 20時59分
ランキング
-
1ビシネスホテル“強盗” 自称会社員の少年を逮捕 群馬・高崎市
日テレNEWS NNN / 2024年11月24日 13時15分
-
2県議会自主解散など要求=維新、兵庫知事選を総括―吉村共同代表
時事通信 / 2024年11月24日 15時35分
-
3「“確率”の問題は“数学I”の範囲外」 受験生の指摘で発覚 島根県立大学の入試で出題ミス 島根県出雲市
日本海テレビ / 2024年11月24日 11時51分
-
4党員不適切登録の自民・田畑裕明衆院議員、社員が架空党員にされたか尋ねた社長に「党費はあなたが払ったことにして」
読売新聞 / 2024年11月24日 10時57分
-
5セブン&アイ「9兆円MBO案に潜む“危険な賭け”」。非上場で外資による買収は回避できるけど
日刊SPA! / 2024年11月24日 8時52分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください