「解雇規制緩和」が注目される今、50、60代がすべき「リストラされても困らない」対策とは
日刊SPA! / 2024年9月28日 8時53分
また、厳密にはリストラのニュースでよく聞く「希望退職制度」と「リストラ」は異なる。しかし、希望退職は業績悪化にともない実施され、退職する定員に達しない場合は整理解雇などへ進むために、「リストラの前段階」と認識されている。
ニュースで聞くものはほとんどが大手企業の希望退職の話であるが、これは解雇のハードルがそれだけ高いことの裏返しだ。
たとえば1カ月以内に30人以上を解雇する場合、企業は大量雇用変動届をハローワークに提出しなければならない。また、その際には再就職援助計画と呼ばれる計画の作成も法律で企業の義務となっている。これは、人材紹介会社にリストラを行う側の企業が料金を支払って解雇される社員の仕事探しを行う、いわゆる再就職支援がポピュラーだ。
この再就職援助は、定年後の再雇用を含めて、企業が45〜70歳の社員を解雇する場合にも義務付けられている。つまり、中高年を解雇する場合でも、大量リストラと同じような支援の必要が企業にはあるのだ。
◆何度もリストラを攻略したシニアの失敗とは
このように、中高年の解雇では再就職援助措置が企業に求められているにもかかわらず、実際にはあまり支援が行われないままクビにされてしまう中高年は多い。あるいは、ちょっとした再就職支援が行われても、なかなか次の仕事が決まらないというケースも多い。実際にどういったシニアが苦戦しているのか、一部をご紹介しよう。
とある製造業の技術者で、リストラの対象に入っているという60代前半の方がいた。その時が人生で初めてのリストラではなく、何度かリストラにあい、その度に次の職場に能力を買われてリストラを攻略してきたという。
しかし、60代のリストラはそれまでとは違い、次の仕事がまったく決まらなかった。そのシニアは「60歳を超えただけでこんな目に遭うなんて」と年齢のせいだと感じているようだった。実際、年齢によってハードルが上がった面もあるだろうが、それよりもそのシニアが持つ技術へのニーズが低下したことが大きい。特に製造業では、製品のニーズが下がるとその製品の専門人材へのニーズも下がることがよくある。
私たちは「多少給料が下がっても、近い他の製品の工場はどうか?」と勧めたが、そのシニアはそれまで自身が歩んできた製品ジャンルから離れることを嫌がり、その後も仕事が決まらなかった。
ほかに、大手企業の営業や間接部門、つまりホワイトカラーの元管理職などでもリストラされて再就職を希望する人は多い。彼らの希望職種は、営業や企画といったリストラ前の職種そのままがほとんどだ。中には「管理職希望」と言い切るシニアもいる。
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