「小説家とともに二郎系ラーメンを啜る」小山田浩子が実直に描写した“昼食の記録”の没入感/『小さい午餐』書評
日刊SPA! / 2024年10月8日 8時47分
食べることは日常である。日常であるからこそ、自分を取り巻く世界の状況とは切り離せない。子育て中の小山田は昼に麺類をよく食べる。コロナ禍に入ればその影響を受ける。もし今年2024年の夏に連載をしていたら、米不足&価格高騰を背景に(あるいは前景に)しながら、酷暑の日中に“小さい午餐”を求める姿が描写されていただろう。
それは特筆すべきことでもなんでもないありふれた日常であり、小山田だけではない我々皆にとっての生活である。となると本書で描かれた小山田の日常は、わざわざ描かれるまでもなく、すでに我々の日常だったということだ。つまり我々はもう知っているはずなのだ。小山田が食べる“小さい午餐”を、午餐の最中に小山田に去来するあらゆる思いを。
「暗くなったり考えこんだり泣けたり、調子に乗って失敗したりもする日々ですが、お昼ご飯がある程度おいしく楽しく食べられたらありがたい、大丈夫だ、と感じます。どこで生まれても、暮らしていても、誰もが食べたいようにお昼ご飯を食べられる世界であるよう、強く願っています」(5p)というまえがきの締めは、何度でも読み返したい。極私的なことから世界単位の大きなものまでが、ここにはびっしりと詰め込まれている。そのことが、本書を読み終えた者には体感できるはずだからだ。
評者/関口竜平
1993年2月26日生まれ。法政大学文学部英文学科、同大学院人文科学研究科英文学専攻(修士課程)修了ののち、本屋lighthouseを立ち上げる。著書『ユートピアとしての本屋 暗闇のなかの確かな場所』(大月書店)。将来の夢は首位打者(草野球)。特技は二度寝
―[書店員の書評]―
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