「一発屋芸人」が減った3つの理由。テレビの衰退とともに「滅びていく運命にあるのかもしれない」
日刊SPA! / 2024年10月8日 8時51分
ダンディ坂野氏 ©産経新聞社
ここ数年のお笑い界は、全体としては活気づいている。ベテランから若手まで幅広い世代の芸人が続々と出てきているし、個々人がそれぞれの芸風や適性に合わせてテレビ、ラジオ、YouTube、ライブなどで活躍している。
ただ、一歩引いて世間一般の目線からお笑い界を眺めてみると、「一発屋芸人」と呼ばれるような華々しい大ブレークを果たしている芸人が、近年ほとんど出てきていないことに気付かされる。
「ゲッツ」のダンディ坂野、「そんなの関係ねえ」の小島よしおのように、特定のキャラやギャグで人気に火が付き、どの番組に出てもそれを求められる、という感じの芸人が現時点では存在しないし、ここ数年でもほとんど現れていない。
なぜ一発屋芸人は減ってしまったのだろうか。
※本記事は、ラリー遠田著『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)より、抜粋・編集したものです。
◆巨大“ネタ番組”が消失した
理由は大きく分けて3つ考えられる。1つは、そういうタイプの芸人を育てる番組が減っていることだ。一発屋芸人が大量に輩出されていたのは、2000年代後半のお笑いブームの時期である。
この頃には、プライムタイムに『エンタの神様』(日本テレビ系)や『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)といったネタ番組がレギュラー放送されていて、芸人が大量に出ていた。
のちに一発屋芸人と呼ばれた芸人の多くは、これらの番組から世に出てきた。そこで何度もネタを披露することでキャラやギャグが認知されて、その実績をベースにしてほかの番組にもどんどん出ていくという流れがあった。
最近のテレビではそのような影響力の大きいネタ番組が存在していない。そのため、特定の芸人がある番組で注目されて一時期だけ話題になることはあっても、その波がほかの場所まで広がりにくい。
いわば、『エンタの神様』や『爆笑レッドカーペット』は、芸人が大空へ飛び立つ前の滑走路のような役割を果たしていた。昔は滑走路に十分な長さがあったからこそ、彼らはその後で高く飛ぶことができた。
現在は滑走路が存在しないか、あってもごく短いものに限られているため、「一発屋芸人」とのちに呼ばれるほどの大きい「一発」を放つこと自体が難しくなっている。
また、ネタ番組に限らず、無名の芸人が起用されるような番組が極端に少なくなっていることも原因だ。
◆賞レースと『おもしろ荘』だけが無名芸人のテレビ出演チャンス
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