焼肉店の倒産が過去最多。牛角、焼肉きんぐ…「大手」が店舗拡大する一方で「個人店」は苦境
日刊SPA! / 2024年10月9日 8時51分
筆者がコンサルタントとして経営支援に携わっている「焼肉一盛」の盛り合わせ
焼肉店の倒産・廃業に歯止めがかけられず、過去最多を更新中である。輸入食肉だけではなく、野菜、コメ、人件費、水光熱費などの高騰で、コロナ収束後も客足の戻りが悪く、資金繰りに困窮する焼肉店は閉業待ったなしの状態だ。
帝国データバンク10月2日の発表によると、焼肉店の倒産が年間最多を更新した。2024年に発生した焼肉店の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、9月までに計39件となった。個人の小規模店の廃業を含めれば、実際はより多くの焼肉店が市場から退出したとみられる。
焼肉店を巡る2024年の経営環境は、極めて厳しいという現実が如実に数字に表れている。物価高騰であらゆる費用の負担が大きくなる中、賃金の上昇が追いつかず、節約志向のお客さんの懐事情から値上げが難しい個人店も多く、今後も倒産・廃業がさらに増えそうだ。
◆値上げできる店とできない店が2極化
若者や家族向けに焼肉食べ放題を提供する「牛角」(レインズインターナショナル)や「焼肉きんぐ」(物語コーポレーション)などは、内容を充実させながら適切な価格対応で店舗数を拡大している一方で、物価高騰の最中でも客足への影響を考え、値上げを躊躇する個人店も多い。
筆者が以前、焼肉店を経営していた時と今は、店を取り巻く環境(仕入れ・顧客・競争)が大きく変わっており、労働環境にも逆風が吹いている。以前は、食肉の調達費用や物流費も安く、しかも安定的に入荷できていた。原価35%、人件費20%、業務費10%、管理費15%、営業利益率20%と持続的に経営は安定していた。
ムリしてランチを営業することもなく、ディナーに集中して効率的な経営をしていた。そもそも、ディナーだけで採算が取れている焼肉店なら、それで十分ではなかろうか。無理して昼に営業するより、限りある経営資源をディナーに集中させたほうが経営効率も高く、従業員にもゆとりが出てきて、顧客サービスの質的向上が期待できるはずだ。
◆ランチ営業せざるを得ない事情
しかし、今は少しでも資金繰りを楽にするためにランチ営業する店が増えている。確かに、①売上が向上する、②食材の有効活用ができる(ディナー時の余りや端材を有効活用して食材ロスが削減)、③ディナーへの広告宣伝費になる、④現金払いが多いので資金繰りが助かるなどのメリットはある。しかし、人材不足が深刻な中、ディナーだけで経営できたほうが楽なはずだ。
この記事に関連するニュース
-
「焼肉ライク」がまさかの店舗数減。食べ放題チェーン「焼肉きんぐ」と分かれた明暗
日刊SPA! / 2024年11月22日 15時53分
-
焼肉店の倒産が止まらない…チェーン店との競争が激化しても"元気な個人店"が提供している「安さ以外」の価値
プレジデントオンライン / 2024年11月19日 16時15分
-
牛肉高騰でインフレ気味の牛丼チェーンを尻目に…「かつや」「てんや」「なか卯」“和風丼チェーン”3社の現在地
日刊SPA! / 2024年11月15日 8時53分
-
パクリと揶揄された「やっぱりステーキ」が急成長。大量閉店で打撃の「いきなり!ステーキ」と明暗分かれたワケ
日刊SPA! / 2024年10月30日 15時54分
-
”庶民の焼き肉”は風前の灯?! 焼肉店の倒産が過去最多に ”ごまかしがきかない” 円安が直撃する「焼肉店ならでは」の事情
RKB毎日放送 / 2024年10月29日 18時11分
ランキング
-
1強盗致傷事件被害品のクレカを受け取った疑いで21歳大学生を追送検…SNSで闇バイトに応募
読売新聞 / 2024年11月24日 16時51分
-
2三笠宮妃百合子さまの通夜営まれる 秋篠宮ご夫妻ら参列
毎日新聞 / 2024年11月24日 19時32分
-
3県議会自主解散など要求=維新、兵庫知事選を総括―吉村共同代表
時事通信 / 2024年11月24日 15時35分
-
4ビシネスホテル“強盗” 自称会社員の少年を逮捕 群馬・高崎市
日テレNEWS NNN / 2024年11月24日 13時15分
-
5名古屋市長選挙、広沢一郎氏が初当選…河村たかし前市長から後継指名
読売新聞 / 2024年11月24日 21時49分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください