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焼肉店の倒産が過去最多。牛角、焼肉きんぐ…「大手」が店舗拡大する一方で「個人店」は苦境

日刊SPA! / 2024年10月9日 8時51分

 2001年9月に発生した国内でのBSE問題、さらには2003年の米国産牛肉のBSE問題の表面化、2011年には5人が死亡した焼肉チェーンの集団食中毒事件で、定番である生レバーやユッケが販売禁止になり、お店で食べる魅力が欠けてしまった。

 人気は根強くあり、徐々に復活はしてきたが、昔ほどに回復はしていない。そういった中、お客さんの知識が豊富になり、店を選択する目が厳しくなってきた。店の思惑通り、一方的に儲けられなくなり、品質と価格のリーズナブルさなどで競争力のない店は淘汰される結果になった。

◆大手焼肉チェーンは知恵を絞る

 食べ放題を中心に多店舗展開する大手は、干ばつなど供給要因や為替要因から輸入肉(牛豚)の仕入れ額の上昇に頭を悩ませている。食べ放題を実施する店は輸入牛を使用するのが通常だ。以前は、牛肉だけの注文が集中すると原価的に厳しいから、豚肉にシフトさせるようメニューを工夫していたが、その豚肉さえも高騰中だ。

 お店からすると麺飯類を食べて早くお腹を膨らましてほしいが、「それは別腹」「焼肉だから肉を食べねば」という客も多く、そう簡単に店の思惑通りにいかない。最近は、ご飯の仕入れ値も上がって深刻だ。肉類の高騰からしたら影響度は小さいかもしれないが、焼肉には白米がよく合うから店にしては困った問題だ。

 ということで、大手焼肉チェーンの戦略は、肉以外の低原価の一品メニューも食べ放題にして魅力度を高めつつ、原価率の高い肉の追加量を抑え、原価を圧迫させずお腹を満たしてもらうというものである。お客さんも色々と食べられ、店側も原価低減に繋がる。双方が満足できる食べ放題だ。

◆人件費の抑制にも限度がある

 一般的に外食店は、FL(原価・人件費)コストの管理が重要で60%以内に抑制しないといけない。そもそも焼肉は、調理のメインである「焼く」をお客さんに任せることと、一品メニューを簡単メニューにすることで、職人の必要がなく、コックレスの仕組みを確立して人件費を抑制できる特性がある。

 職人の高い給料が不必要な分を原価に充当しているから、焼肉食べ放題などは費用構造的に成り立っているものだ。しかし、アルバイトを中心に運営する外食店においても、そのアルバイトは完全な変動費ではないため、あまり削りすぎると定着せず、常に新人で運営すると大きなムダが発生する。

 そのため、店への忠誠度を高めて運営力を強化させる人の管理が重要だ。「企業は人なり」はどんな業種業態でも共通した課題である。

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