緩やかに縮小するヤマダデンキ。再び「売上2兆円」を目指すも、人口減少や家電の低価格化に抗えず
日刊SPA! / 2024年10月12日 8時53分
J_News_photo - stock.adobe.com
経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。さて、今回は株式会社ヤマダホールディングスの業績について紹介したいと思います。
1973年に街の電気屋として創業したヤマダ電機(現:ヤマダデンキ)は群馬を中心に勢力を拡大し、90年代には全国展開を進めました。2001年には量販店業界でトップの座につき、現在に至るまで首位を維持し続けています。しかしながら、かつて2兆円を超えていた売上高は1.6兆円にまで縮小し、家電需要の減少と地方衰退の煽りを受けています。非家電事業の強化で売上2兆円の復活を狙うも、目標にはほど遠いようです。
◆「街の電気屋」からチェーン展開へ
ヤマダデンキは日本ビクター出身の山田昇氏が1973年に前橋市で開業した街の電気屋「ヤマダ電化サービス」から始まりました。店舗展開を進めて5年後には5店舗・年商6億円の規模となり、北関東を中心に勢力を拡大します。80年代には栃木地盤のコジマ、茨城地盤のケーズデンキとともに「北関東YKK」と呼ばれるようになりました。87年には総合家電店舗の「テックランド」1号店を本社ビルの1階に開店しました。
1992年に大規模小売店舗法(大店法)が改正されたことで500㎡以上の出店が容易になると、全国展開を強化し、九州・東北・中京・近畿と各地に進出しました。97年に売上高1,000億円を達成し、2000年には東証一部への上場を果たしました。
◆大規模店で他の量販店を駆逐
2000年に大店法が廃止され、大店立地法が制定されると大規模店の出店が容易となりました。2001年にコジマを抜いて業界トップとなったヤマダデンキは売場面積3千平米台の店舗を次々に出店し、2005年には売上高1兆円を記録します。
ヤマダの大型店は他の量販店が衰退する要因となりました。90年代に勢力を伸ばしたコジマは法律に縛られた500平米級の店舗が多く、品揃えでヤマダに勝てませんでした。同様に首都圏の駅前で勢力を伸ばしていたラオックスやサトームセンなどの秋葉原系量販店もヤマダの台頭で駆逐されました。
その後も勢力を伸ばして2010年には売上高2兆円を突破、2011年3月期の売上高は過去最高の2兆1,533億円となりました。2010年度の好調はエコポイント制度も影響しています。しかしその後は家電市場自体が縮小したため店舗数拡大は頭打ちとなり、現在では売上高1.6兆円規模にまで縮小しています。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
家電量販店の優等生・ノジマが営業利益率で勝るヤマダ、ビックカメラに劣る数字…VAIO買収の先に潜む死角とは
集英社オンライン / 2024年11月22日 7時0分
-
一番人気の「かつ重」は300円未満! スーパー・トライアルが物価高時代に「安さ」で勝負できるワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 6時10分
-
≪大手家電量販店で初≫ ヤマダがテスラの蓄電池を販売
財界オンライン / 2024年11月18日 18時0分
-
ダイエー、イトーヨーカ堂…日本の小売りを支えた都市型総合スーパーが衰退した理由
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月14日 9時26分
-
「ビブレ」「サティ」はどこへ消えた?“愚策”だった「マイカルタウン」の新規出店攻勢
日刊SPA! / 2024年11月2日 8時53分
ランキング
-
1形を変えた政活費に? 自民改革本部案の「外交支出」、与野党協議の焦点に
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年11月21日 21時44分
-
2生後2カ月の次男が意識不明 傷害容疑で巡査長を書類送検 福岡県警
毎日新聞 / 2024年11月21日 19時37分
-
3稲村陣営がSNSが選挙期間中に凍結 刑事告訴の方針「選挙戦で自由な発信ができなくなった」 兵庫県知事選
MBSニュース / 2024年11月21日 19時25分
-
4中谷防衛相、年内訪韓=9年ぶり、韓国国防相と合意
時事通信 / 2024年11月21日 23時23分
-
5暗躍する悪質ホストの歌舞伎町スカウト「さらすぞ」 闇バイト募集と同じ手口 深層 歌舞伎町
産経ニュース / 2024年11月21日 21時6分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください