1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

緩やかに縮小するヤマダデンキ。再び「売上2兆円」を目指すも、人口減少や家電の低価格化に抗えず

日刊SPA! / 2024年10月12日 8時53分

◆2010年代から「非家電」を強化

 ヤマダは家電以外の稼ぎ頭を確立すべく2010年代以降は非家電事業にも進出しました。2011年に住宅メーカーのエス・バイ・エルを子会社化、同社は現在、ヤマダホームズとしてグループの住建事業を担っています。その4年後には住宅ローンの貸付を行う子会社を設立し、金融事業も強化しました。

 そして特に話題になったのは2017年に行った大塚家具の子会社化です。2代目のもとで経営が悪化してしまった同社を買収。21年には完全子会社化し、その翌年には吸収合併して法人としての大塚家具は消滅しました。大塚家具は現在、ヤマダデンキの家具ブランドとして存続しています。

◆巣ごもり需要で伸びるも、流れは変わらず…

 ヤマダデンキは2020年にヤマダホールディングスとなり、持株体制をとっています。2020年3月期から24年3月期の業績は次の通りで、セグメントをは複数ありますが小売関連のデンキ事業が主力です。ちなみにヤマダデンキの直営店は下記のように1,000店舗規模ですが、FCとして管理する小型店舗(街の電気屋)は10,000店舗にのぼります。

【株式会社ヤマダホールディングス(2020年3月期から24年3月期)】
全社売上高:1兆6,115億円→1兆7,525億円→1兆6,194億円→1兆6,006億円→1兆5,920億円
全社営業利益:383億円→921億円→657億円→441億円→415億円
直営店店舗数:990店→1,003店→1,015店→1,028店→1,005店
直営店売場面積:2,630千㎡→2,630千㎡→2,703千㎡→2,803千㎡→2,848千㎡

 21年3月期に売上高が伸びたのはコロナ禍に伴う巣ごもり需要や特別定額給付金の影響です。しかし国内全体で家電市場が縮小しているのは変わらず、翌年度から再び減少に転じました。人口減少や家電の低価格化に抗うことはできません。

◆大型化、非家電の強化で再起を図るが…

 店舗数が変わらない状況で売場面積が伸びているのは、スクラップ&ビルドで大型店を増やしたことに起因します。従来の3,000㎡台よりもさらに大きい1万㎡前後の店舗を増やし、家電と非家電の両方を充実させた店舗を出店しました。新コンセプト店「LIFE SELECT」は家電や家具、インテリア、生活雑貨など幅広い商品を扱っています。ヨドバシカメラのように、家電単体での事業が厳しくなった大型量販店が家電以外を扱い、GMSのような総合型店舗に生まれ変わっているのは他社も同様です。上層階にレストラン街を設ける店舗もあります。

 さて、中期経営計画では25年3月期売上高2兆円、30年3月期売上高2.5兆円という目標を掲げていましたが、現時点ではほど遠い水準です。住建事業は売上の2割程度を占めますが、建築資材の高騰で収益化には苦戦しています。加えて、ヤマダHDは地方のロードサイドを強みとしており、地方衰退の影響をもろに受けることになるでしょう。店舗の集約化がより一層進むと思われます。2位、3位との差は大きいため業界トップの座を維持できそうですが、2兆円台の大台に乗ることはないでしょう。

<TEXT/山口伸>

【山口伸】
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください