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「自傷行為を止めるため」刺青を彫り続けた女性が、「舌先を2つに割った」ときに立てた誓い

日刊SPA! / 2024年10月26日 8時54分

「自傷行為を止めるため」刺青を彫り続けた女性が、「舌先を2つに割った」ときに立てた誓い

ゴメス奈良紫さん

 目元に派手なメイクを施し、刺青やピアス、スプリットタンなどが目を引くその女性は、ゴメス奈良紫さん(37歳)。現在は、イラストレイターとして活動もする2児の母だ。奇抜なそのファッションから想像もつかない厳格な家庭で育ち、独立後に夜職に転じた彼女の波乱に満ちた軌跡を追う。
◆「幼い頃の憧れだった母」が病を機に変貌

 ゴメス奈良紫さんは言う。「今でも、両親には敬語で話します」と。物心ついたときから、親に対してわがままを言ったりすることはなかったという。そればかりか、ゴメスさんたちきょうだいは皆、母親のその日の機嫌を何よりも気にしていたという。

「助産師で、かつて助産院を開業していた母は、私が幼い頃の憧れでした。医師の立ち会いのもと、患者さんに注射をする姿がとてもかっこ良かったんです。一方で、甲状腺の病気で職を辞してからの母は、朝起きてくる時間がどんどん遅くなり、私たちは自分で身支度をして朝ご飯を作って、登校していました。おそらく母自身、ままならない自分の生活に苛立つ気持ちがあったのだと思います。帰宅後、本当に些細なことで怒鳴られ、殴られる日々でした」

◆母への「接待」のようだった家族旅行

 過敏な母親は、たとえばこんな「些細なこと」でゴメスさんに当たり散らした。

「私にリモコンを片付けるように命じたのに兄が片付けたとか、その程度のことです。母は激昂すると、明らかに目つきが変わってしまい、それまでと別人のようになってしまいます。息ができなくなるまで蹴られる、包丁を突き立てられる、フォークで頭を刺される、ということも経験しました。父は経営者でしたが、心根の優しすぎる人で、母に対する抑止力にはならない人でした」

 母は旅行が好きで、たびたび家族旅行が開催されたが、それは家族から母への「接待」にも聞こえてくる。

「たとえば道中の車でどんな音楽をかけるかなども、すべて母の顔色を伺いながらです。もちろん、どんな景色を見せるか、どんな温泉に入らせるか、なども一定の緊張感がありますよね」

◆「誰に対しても優しくありたい」と感じた原体験

 だがこれらの母との思い出について、ゴメスさんは決してつらそうに語らない。そこには、こんな理由がある。

「母が注射器を使って患者さんに向き合っている姿が脳裏にあること、今は私も子どもを持つ身として、働き盛りで病に倒れた母の悔しさが理解できること――があるでしょうね。

 でも原体験として覚えているのは、こんなことです。4歳のとき、風呂掃除が遅くなってしまったことに母が怒り、裸足で外に出されました。ちょうど秋から冬になるところで、寒かったのを覚えています。暗く落ち込みましたが、ふとみると今にも死にそうなオニヤンマが羽根を上下させていたんです。

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