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5年前に「全区間廃止」された北海道夕張支線。廃線跡を巡って分かった“夕張市の現在”

日刊SPA! / 2024年11月9日 8時52分

 そんなことをぼんやり考えていると、終点に到着。ここはかつて『石炭の歴史村』と呼ばれたテーマパークだったが、夕張市が財政破綻した06年に閉鎖。ジェットコースターや観覧車などのアトラクションは撤去され、多くの施設が閉鎖。今も営業を続けるのは石炭博物館(※今年は11月4日で営業終了)のみだ。

 博物館では炭鉱に関する常設コーナーに加え、『夕張鉄道創立100周年』と題した特別企画展が開催。夕張鉄道とは、JR函館本線の野幌駅(北海道江別市)と夕張本町駅の53.2㎞を結んでいた私鉄。

 廃止される1974年まで国鉄と並んで札幌方面に向かう主要ルートとなっており、半世紀前のほうがアクセスしやすかったとはなんとも皮肉な話だ。

◆廃墟が目立つ夕張の町

 石炭博物館を見学した後は、夕張駅まで約3.5㎞の道のりをウォーキング。途中には『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』でお馴染みの映画の街らしく『夕張本町キネマ通り』と名付けられた通りもある。ここには昔の映画館には必ずあった手書き風絵看板が点在し、ただの街歩きも楽しい。

 それらを眺めながらしばらく進むと夕張市役所に到着。隣には15年度末で閉鎖された夕張市民会館があるが、ここは夕張鉄道の夕張本町と一体化されていた施設。

 商業施設にもなっている駅は全国各地にあるが、市民ホールと一体型の駅というのは大変珍しい。ここ新駅舎が誕生したのは1963年のことで、今でも通用しそうな先進的な駅だったようだ。

 その後も歩き続けると、三角形の大きな建物が印象的なリゾートホテル『ホテルマウントレースイ』がある。

 夕張のランドマーク的な存在だったが、20年12月に運営会社が破産申し立てを行い突然閉鎖。その後、別会社の運営によってスキー場は21-22シーズンから営業が再開されたが、ホテルは現在も休業したままとなっている。

 夕張駅はこのマウントレースイの隣にあり、現在はカフェが営業中。時計台のある三角屋根の洋館風の建物との雰囲気がマッチし、観光客に人気のスポットのようだ。

 ほかにも駅の横には屋台村があり、ここで筆者が昼食に頼んだのは夕張名物のカレーそば。今回初めて食べたが、うどんだけでなくそばもカレーとの相性が抜群。雨で冷えた身体を温めることができた。

◆線路は踏切を除くと大半の区間で残っている

 食後は路線バスで行ったり来たりしながら、鹿ノ谷駅や清水沢駅、南清水沢駅、沼ノ沢駅の沿線4駅を訪問。駅舎が今もあるのは鹿ノ谷駅と南清水沢駅だけだったが、線路は踏切を除くと大半の区間で残っている。実際、筆者以外にも車でこれらのスポットを見て回っている人たちが何組もいた。

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