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東大生が「103万円の壁は撤廃すべき」と断言するワケ。「学費、生活費を稼ぐ学生」を見捨てるのか

日刊SPA! / 2024年11月17日 15時53分

 そもそも東京で暮らす場合、最低でも家賃に月7万円はかかります。東京大学公式の寮(三鷹国際学生宿舎)に入ると月額1万円ですが、それでも年間12万円がひかれます。

 水道光熱費は別で、月当たり5,000円程度とするなら年間6万円。寮があるのは東京都三鷹で、京王井の頭線の三鷹台駅まで徒歩40分程度。交通費節約のために歩いて通ったとしても定期代だけで年間8万円程度かかる。

 さらに、教科書代が半期ごとに2~3万円程度はかかります。通年で5万円。三鷹国際学生宿舎では食事が出ませんので、自弁となります。仮に切り詰めて食費を一日500円に抑えても、一か月で15,000円。一年間で18万円。

 これだけで113万円となりますので、「103万の壁」を優に超えてしまいました。さらにスマホを契約していたら年間で8~10万円はかかります。あっという間に130万が目前です。

 ここに被服費用や医療保険費用、交際費が入っていないことを考慮すれば、「103万の壁」ではまともに大学生活を営めないことがお分かりいただけるでしょう。

 ちなみに学費が53万のままであれば、113-11=102万円とギリギリ「103万の壁」を超えていないので、今回の学費値上げが学生にとどめを刺した形になります。すなわち、「103万の壁」は、地方学生の「上京して一人暮らし」の選択肢を潰しているとも考えられるのです。

◆大学を休学して学費や生活費を稼ぐ学生も

「それならばたくさん働けばいい」と考えるかもしれませんが、そもそも大学は研究機関であって、大学生はいうなれば研究者の卵です。それが目先の生活のためにアルバイトに追われ、ろくろく大学に通えないとなれば、それは国の教育体制としていかがなものでしょうか。

 これまで私が取材してきた東大生の中でも、親からの支援を一切頼れず、学費と生活費を自弁するために大学を休学してアルバイトに奔走しているケースが2つもありました。

 日本トップクラスの大学である東京大学のひざ元で、こんなことが現実に起きていることに違和感を覚えます。

 ちなみに以前私が東大学費値上げに関する記事を書いたところ、「東大生はバイトの時給が高いからいいだろう」と的外れな意見を多数いただきました。

 確かに、バイトの時給は東京都の最低時給と比べても高いことが多い。例えば、家庭教師ならば時給2500~3000円程度が相場ですし、塾でも2000円程度が一般的。これだけ見れば、いくらでも稼げるように見えてしまいます。

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