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最高視聴率81.4%だった「紅白歌合戦」はオワコン化したのか?過去との比較が不毛なワケ

日刊SPA! / 2024年12月12日 15時54分

 これも比較するのは乱暴だ。1970年の総世帯数は約2256万で家族の平均人数は3.73人だった。1980年は約3582万世帯で家族の平均人数は3.25%。1990年は約4067万世帯で家族の平均人数は2.70人なのである。

 2020年時点で総世帯数が約5331万、家族の平均人数が2.21人だから、前提条件が異なる。紅白の内容の良し悪しも世帯視聴率に多少は影響しただろうが、その数字の低下は家族の平均人数の減少とほぼ重なり合っている。

 ほかにも近年の紅白の世帯視聴率が昔より低い理由がある。紅白が高齢者を重視していないからである。数の多い高齢者を重んじないと、世帯視聴率は決して上がらない。

 65歳以上の高齢者が家族にいる世帯の割合は1980年には全体の24.0%に過ぎなかった。1990年も26.9%だった。それが2021年には49.7%に達している。1990年の約2倍だ。総世帯の約5割を占める。

 高齢者は人数も多い。1970年は約733万人、1980年は約1065万人、1990年は約1493万人だったが、2022年には約3627万人と2倍以上になっている。総人口の29.1%だ。高齢者が観ないと、世帯視聴率が上がらないわけだ。

 このため、『相棒』(テレビ朝日)のように高齢者が好みがちな刑事ドラマは世帯視聴率が高くなりやすい。逆に『ミュージックステーション』(同)のように若い世代には人気があるものの、高齢者の支持が薄い番組は世帯視聴率が低くなる。

 15~39歳は1970年には約4439万人いた。これが2018年時点で約3309万人にまで激減している。数の少ないから、若い世代向けの番組は構造的に世帯視聴率が上がりにくいのである。

◆高齢者向けの歌手を増やさないという判断

 そんな中、NHKは若い世代を大切にしている。紅白もそう。それでは世帯視聴率が上がらないのだが、承知のことだろう。 

 NHKが若い世代を重視し始めたのは前任会長・前田晃伸氏(79)=元みずほフィナンシャルグループ会長=が2020年に就任してから。前田氏は番組でもサービスでも若い世代を大切にした。将来も組織を持続させるためだ。前田氏が2023年1月に退任した後も紅白は若い視聴者を意識している。

 今年の紅白には韓国のボーイズグループ・TOMORROW X TOGETHERと同ガールズグルーブ・ILLITが初出場する。若者を重んじている表れにほかならない。この2組の初出場に多くの若い世代は喜ぶだろう。もっとも、高齢者の大半はその存在すら知らないはずだ。一方で高齢者にファンが多い演歌勢で出場するのは石川さゆり(64)や坂本冬美(58)ら41組中8組と少ない。大人向けの歌をうたう歌手も多いとは言えない。

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