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「THE W」、下ネタより気になった“無理に褒める審査員”の存在…「むしろ女性芸人に悪い印象を与える大会」と思うワケ

日刊SPA! / 2024年12月21日 8時48分

 昔から下ネタ一本でやってきた紺野ぶるまはともかく、他の2組(にぼしいわしと忠犬立ハチ高)が「うんこ」と「官能小説」を題材に選んだのも驚きではあった。『キングオブコント2022』(TBS系)で審査員を務めた東京03・飯塚悟志が「キスは禁じ手だと思う」と出場者へ苦言を呈したように、少なくとも賞レースでは下ネタ(性的なネタ)から脱却する流れにある男性芸人と比較すると、興味深い現象だ。

 もう一つ気になるのは、女性ならではの感性を織り込むネタがテンプレ化してしまっている現状。容姿を自虐するネタ、年齢を自虐するネタ、嫌な女あるあるのネタ、そして下ネタのことである。『R1グランプリ』(フジテレビ系)でフリップネタを見るときに似た既視感は、THE Wのほうでも覚えることがある。

 女性にしかできないネタという観点でいえば、やはり吉住はスペシャルだった。

◆“無理に褒める審査員”とM-1とのコントラスト

 THE Wを見て最も気になるのは、ネタ終了後の審査コメントだ。「女芸人No.1決定戦」と銘打っているわりに、良いものはいい・悪いものは悪いと本当のことを言う審査員がいないのだ。無理に褒めるところを絞り出しながらコメントを発しているし、負けた側を気遣って「どちらも僅差でした」とフォローすることが常。

 これが、どうにもつらい。「出場者が未熟で弱い存在だから、悪く言うことはできない」と暗に言っているようなもので、見ていてすごくしんどいのだ。

 あまりに酷評をして、出場者の今後にネガティブな影響を与えたくないのか? 相手が女性だから、炎上を恐れてキツいダメ出しをしないのか? 特に、男性審査員が女性芸人にビシッと言ってしまうと面倒くさい事態になりかねないのは事実。だから、「どちらもおもしろくて迷いました」というぬるいコメントが頻発した。

 しかし、このモヤモヤは「審査員に気を遣わせるような芸はどうなのか?」と視聴者に悪い印象を与えかねない。大会自体の説得力を弱めている。

『M-1グランプリ』で審査員を務めた立川談志や上沼恵美子、現役審査員でいえば中川家・礼二らの直言と比べると、このコントラストはあまりに大きい。

◆低視聴率の原因は、平日放送だから?

 2024年のTHE Wは世帯視聴率が6.6%、個人視聴率は4.1%だった。ちなみに、2023年大会は世帯視聴率が8.2%、個人視聴率は5.3%である。どうやら、2024年大会は歴代最低の視聴率になってしまったようだ。

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