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史上最速100店舗を達成した「から揚げの天才」わずか3年で店舗数が10分の1に…好調の“業界トップ”と分かれた明暗

日刊SPA! / 2025年1月3日 8時54分

史上最速100店舗を達成した「から揚げの天才」わずか3年で店舗数が10分の1に…好調の“業界トップ”と分かれた明暗

住宅街を中心に破竹の勢いで出店する、テリー伊藤氏の人形でお馴染みのから揚げの天才

 物価上昇の中でも、財布に優しく、美味しい「鶏の唐揚げ」。しかし、その唐揚げ専門店の廃業や倒産が相次ぎ淘汰が進んでいる。背景にあるのは、コンビニ・スーパーの総菜品・食品メーカーの冷凍唐揚げなど異なる業種業態店による競争激化だ。
 テイクアウト需要の高まりを受けて積極的に展開した「から揚げの天才」。テリー伊藤とコラボしたワタミのチェーン店だ。2021年には外食チェーン史上最速となる2年7か月での100店舗達成の新記録を達成したが、テイクアウト市場の縮小とコロナ禍の参入過多による競争激化などの原因もあり、わずか3年で店舗数が10分の1に激減した。

 コロナ禍で追い風に乗った唐揚げ市場をうまく利用し、軌道にいち早く乗せたワタミの急減速の要因は何か。現状の収益状態、成長戦略、意思決定方法や組織体質からも分析してみたい。

◆「から揚げの天才」はなぜ急減速したか?

 から揚げと玉子焼きの組み合わせを看板商品とした同店は、秘伝のタレに丸1日漬け込んだ鶏ももを丁寧に2度揚げした本格から揚げと、実家が玉子焼き店であるテリー伊藤氏のこだわり玉子焼きを味わえるなど、商品力には一定の評価があった。

 看板メニューは、そのこだわりがある玉子焼きとから揚げを組み合わせた「からたま」で、昼はからたま定食、夜はからたまハイボールを販売し、テイクアウトのからたま弁当を積極的に販売していた。

 唐揚げと玉子焼きは、両方とも人気が高く、お弁当では定番の商品だ。まさに顧客ニーズに合致した組み合わせである。テイクアウトの弁当だけでなく、唐揚げを定食としての提供も可能にした店づくりはお客も利用しやすい。

◆歯車が狂いだした仕入れ環境の変化

 しかし、ここ数年、唐揚げ専門店は厳しい仕入れ状態が続いている。輸入鶏肉が鳥インフルエンザの流行による供給量の減少に見舞われているためだ。牛肉・豚肉価格が上昇し、割安な鶏肉を求める消費国が増えている。

 国内鶏肉価格は5年間で約2割上昇し、調理に必要な食用油も、キャノーラ油では5年間で約7割値上がりしているのだ。

◆ワタミの業績はゆるやかに伸長

 一方で、ワタミのコロナ収束後の業績は、緩やかながら伸びつつある。事業を再構築し、企業価値を高めるための選択と集中の経営判断で次なる改革を急いでいる。2024年3月期決算では売上823億円(前年比5.6%増)、営業利益37億円(前年比54.5%増)、営業利益率4.6%(前年比2.8%増)と、着実に成長をしている。

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