ヤマト運輸“サービス力低下”を招いた経営陣の誤算。現場&顧客を軽視、“120億円訴訟”日本郵便との関係は泥沼化へ
日刊SPA! / 2025年1月9日 8時53分
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中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
ヤマトホールディングスが迷走に次ぐ迷走を重ねています。ヤマト運輸と日本郵便は2023年6月に小型薄型荷物の配達業務を、日本郵便に委託することで合意。しかし、2024年11月にヤマト運輸は「クロネコゆうパケット」の配達移管を見直すよう申し入れました。
日本郵便は120億円の損害賠償を求めて提訴。事態は泥沼化しています。現場と顧客を軽視した経営陣の甘さが露呈する結果となりました。
◆経営目標を達成するためには…
2023年6月に合意した協業内容は、メール便と小型薄型荷物領域の2つ。ヤマト運輸が顧客から荷物を預かって日本郵便が管轄する地域区分局に差し出し、郵便の配送網を使って届けるというものです。
ヤマトホールディングスは2022年3月期から2024年3月期までの中期経営計画「Oneヤマト2023」において、2024年3月期にROE10%以上という経営目標を掲げていました。2023年3月期は7.6%。目標達成には、生産性や収益性を高める取り組みが必須となっていました。なお、ヤマトの2024年3月期ROEは6.3%で着地しています。
◆「営業所の縮小」と「2024年問題」
2023年3月期からはネットワーク・オペレーション構造改革を強調するようになり、多様化する物流ニーズに最適化した専用ネットワークの構築と拡大を進めていました。特に都市部においては宅急便営業所を集約、大型化するという青写真を描いており、2023年3月末時点で3,331ある営業所を2027年3月末には1,800まで縮小するという計画でした。結果として、オペレーティングコスト(固定費)の削減を図ることができ、収益性の向上に期待ができるとしていたのです。
当時はそれ以外にも頭の痛い問題がありました。トラックドライバーの時間外労働の上限が960時間に制限されるという「2024年問題」が目前に迫っていたのです。配送事業者は時間外労働の規制で強制的なコストカットが望めると同時に、属人的になりがちな配送業務の効率化を図らなければならないという、難しい問題に直面していました。その間隙に生まれたのが、宿敵とも言える日本郵便との協業体制だったのです。
◆2023年9月に「3万人との契約打ち切り」
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