スキー場の“倒産件数”は過去最多でも「なぜか好業績」のスノーリゾート会社の存在。稼ぐのは“冬だけ”じゃない
日刊SPA! / 2025年1月10日 8時52分
これほどまでの成長がウィンターシーズンだけで実現できるはずはありません。日本スキー場開発は、長野県の白馬や鹿島槍、竜王といった複数のスキー場を買収し、グループとしての「年間を通じた」山岳リゾート体験を提供できる体制を整えてきました。雪のない季節にも絶景やアクティビティを求めて訪れる人々の需要を取り込み、ゴンドラリフトのチケット収益を柱とした運営を行っているのです。
ウィンターシーズン以外の“グリーンシーズン”での売上高は全体の約3割に達しているとも言われています。これが年間を通じての収益の底上げにつながり、安定経営を可能にしているのです。
◆「雪のシーズンが始まると株価が上がる」という先入観を超えて
スキー場運営企業と聞くと、多くの投資家やアナリストは「雪のあるときだけ儲かる」というイメージを抱きがちです。たしかに以前は、降雪量が多いシーズンにいかに集客できるかが利益を左右していました。しかし日本スキーは、この“冬のみ”のビジネスモデルから脱却しようとしてきました。
その象徴が、夏や秋にも絶景やアクティビティを提供する取り組みです。長野県の白馬エリアでは、山頂や中腹のテラスから見下ろす壮大な景観や、空に向かって大きくこぎ出すような巨大ブランコなどがSNSで話題を集めています。紅葉シーズンにはゴンドラ乗り場に長蛇の列ができ、1時間以上待つことも珍しくありません。これまではウィンタースポーツとは縁遠かったファミリー層やペット連れのお客さんが多数訪れるようになり、秋口でも活況を呈しているのです。
こうした成功事例によって「雪次第」という先入観が払拭され、“通年で収益を伸ばせる企業”として評価されるようになっています。
◆なぜ日本スキー場開発がここまで注目を浴びているのか――年初来高値の要因
日本スキー場開発の株価が年末にかけて高値を更新している理由として、いくつかのポイントが挙げられます。
1.観光需要の回復とインバウンド拡大
新型コロナの影響が落ち着き始め、海外からの観光客が再び増加しています。欧米やオセアニア地域からのスキー客が戻るだけでなく、アジアから訪れる旅行者も増えています。日本らしい雪山の景色と観光を同時に楽しめる点が高評価を得ているのです。
2.グリーンシーズンの集客強化が成功
ウィンター以外の時期に魅力的なアクティビティを用意し、リフトチケット売上を確保する戦略が功を奏しています。絶景テラスやアクティビティ施設によって、一年を通じて賑わいを生み出しているのです。
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