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「都道府県魅力度ランキング最下位」から“脱出した”茨城県。躍進を支えた公式YouTubeの登録者数は「全国2位」

日刊SPA! / 2025年1月14日 8時51分

◆女将が立ち上がるなら…今度は若旦那たちが表舞台に

実は、茨城が「東京から近い」のは、諸刃の剣であったようだ。

「すぐ来れるぶん、目的地だけを楽しんですぐ帰ってしまうパターンが少なくありません。できれば食事をしたり、泊まってもらったりしてほしいのが本音。女将カードで、旅館を利用してもらうきっかけを作れました。でも個人的に何より大きかったのは、『茨城がなんか面白いことやってるぞ』という評価や、『不安だったけど、こんなに喜んでもらえてやって良かった』という女将さんたちの声でした」

女将カードのメディア露出の広告換算額は、数十億円にものぼる大成功だったという。そして今年の観光キャンペーンでも、「想像超え」をキーワードに新しい企画へ踏み出した。

「実は女将カードは2年連続でやったので、次もカードという予想を覆したかった。天邪鬼なので『今度はそうきたか』と言わせたい。そこで、純烈さんをイメージして、昭和歌謡ユニット『いばらき若旦那』を作りました。旅館の跡取りである若旦那をオーデションで集めて結成したんです。オリジナル楽曲を作り、CDやカセットテープを販売しています。メンバーが自分の旅館でコンサート付きディナーも開催しています。実は、カードになった女将さんの息子さんもメンバーになっているんですよ」

◆“万人受けを捨てた”YouTubeは全国2位の座に

突飛な施策を次々と繰り出す茨城県は、YouTubeでも存在感を示している。都道府県の公式チャンネルにおいて、茨城県の「いばキラTV」の登録者数が東京都に次いで全国2位、総視聴回数でも同2位となっており、他の追随を許さない。

実は全国で唯一、民放のローカルテレビ局がない茨城県。YouTubeチャンネルはその代替として県民向けに県内のニュースや情報を配信していた。現在は観光スポット紹介など県外視聴者向けのコンテンツも多く投稿。そのタッチは、行政主導のチャンネルと思えない軽快さとキャッチーさが目をひく。

「テレビを見ないZ世代を含む34歳以下の若い層にもアプローチできるように考えながら制作しています」

若年層にリーチするコンテンツにすべく、YouTubeチャンネルに関わっているのは、チーム内でも若いメンバーたちとのことだ。それでも、群雄割拠のYouTubeで動画を見てもらい、チャンネル登録をしてもらうのは、とても簡単ではない。

「自治体のチャンネルでは『全員に受け入れられるように』『無難に』という方向性になりがちです。しかし、それでは結局誰からも『あなたが1番だ』とは言ってもらえませんよね。だからこそ、万人受けではなく、誰に届けたいのか、誰のどういった行動変容を促したいのか、『ターゲットに深く刺さり行動を変えさせる』ことを強く意識しています」

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魅力度ランキング上位常連組の北海道や京都は、すでに“こすられすぎた”観光のイメージがある。菊池氏は「茨城は逆に、まだ観光のイメージの少ない県なのでそこが勝機」とこぶしを握る。

“本気を出した”茨城県に触発される自治体もあるだろう。2025年度以降の魅力度ランキングはより熾烈な争いが繰り広げられるかもしれない。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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