年100軒ペースで増加…“コンビニ化する精神科”の闇。「患者の話を聞くのは5分以内」ノルマを課された医師も
日刊SPA! / 2025年1月18日 8時53分
「実は精神科は、他科に比べて圧倒的に訴訟リスクが低いんです。さらに医療機器を揃える必要もないので開業の初期費用もわずかです。あとは広告を出して患者を集めて数を捌けば、かなりいいビジネスになりますよね。精神疾患を抱える人がここ数年で増えているのは事実ですから、そこへ新しく参入して稼ぎたいと思っている若い医師にとってはうってつけと言えます」
◆開業ハードルが低くいいビジネスになる
ちなみに医師免許さえあれば、研修期間後に臨床経験を積まずとも開業できるため、20~30代の若い院長も目立つ。さらに精神科と標榜するだけで、初診料の保険点数は他科よりも高くなる。
さらに原井氏は、そうしたクリニックと患者側が利害関係に陥りがちである点も問題であると指摘する。
「通常、2年以上通院して服薬し、就労できていないなら障害者手帳を取得して障害者年金をもらうことができる。こうした疾病利得(病気にかかることで享受するメリット)を目的としている患者も少なくありません」
ただ、精神科は薬を大量に処方して稼いでいるというイメージもあるが、それは30年以上前の古い考え方であり、現在は厚労省の方針により調剤報酬も低くなった。
ゆえに昨今は「患者の数」で稼ぐことが目的化しているという。
「まとまった患者数をこなすためには医師の人数も必要になるため、担当医がコロコロ代わらざるをえない。しかし薬の処方のみを目的としている患者にとっては何の問題もない。コンビニで商品を買うだけなら店員は誰でもいいのとまったく同じ構図です」
現在、精神科のオンライン診療も可能になる動きもあるため、自宅で開業することも可能になる。コンビニ化したメンタルクリニックは、今後ますます増えていくだろう。
◆「論文のアブストラクト」「口コミレビューへの返信」は要チェック
「日本のコンビニは非常に優秀で、特に都会ではどこにでもありアクセスもよく、商品の質も安定している。メンタルクリニックも同様で、ネットで探せば都合のいい場所にあり、多くの場合予約なしでも診察を受けられ、欲しい薬をすぐ処方してもらえる。
経営者がしっかりしていれば、院長が辞めても閉院しないというメリットがあります。ただし質はそれなりか、それ以下なので長いお付き合いはおすすめできません」
本格的に治したいと思うなら、受診する側もしっかり考えて対策を練るしかないのだ。
「受診前に、Googleスカラーなどで医師の論文のアブストラクト(要約)に目を通したり、口コミのレビューに対する返信文を読んだりすると、治療方針や専門性が見えてきます。今の状況では、それくらいの手間が求められるでしょう」
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