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レジ横で「揚げたてドーナツ」を全国展開するセブンイレブンが、“ミスドのライバル”にはならない理由

日刊SPA! / 2025年2月6日 8時53分

 2000年から2017年までは6万円台で推移していました。セブンイレブンがドーナツに初めてチャレンジした2014年の支出額と比較をすると、1万2858円(18.8%)も上がっています。

 最近、チョコレートなどの菓子を購入して、がっかりした経験はないでしょうか。金額が高いうえに容量が明らかに減っているためです。不二家の「カントリーマアム」はかつて28枚入りでしたが、今では18枚まで減少しています。価格改定も行っているため、デフレに慣れ切った感覚で手にすると失望感すら漂ってしまうのです。

◆マーケットとして“魅力的”な流通菓子市場

 これは「カントリーマアム」に限ったことではなく、菓子類全般に言えます。

 セブンイレブンのドーナツは150円程度であり、揚げたてが提供されるという特別感があります。食べ応えもあり、菓子感覚で食べるには最適でしょう。

 矢野経済研究所によると、2024年度の流通菓子市場規模の予測は前年度比3.1%増の2兆1689億円。経済の回復とインバウンド需要の盛り上がり、価格改定の影響で増加しています。この市場規模のうち、チョコレートとビスケット類はおよそ3割。市場規模は7000億円を超えるものであり、マーケットとしては魅力的なのです。

◆値上げしても客離れが起きないミスタードーナツ

 専門店のミスタードーナツの業績は堅調を維持しています。

 運営するダスキンの2024年4-9月のフードグループの売上高は前年同期間比20.1%増の311億円でした。2024年9月までで、ミスタードーナツの売上は26か月連続で前年同月を上回っています。上半期の全店売上は15.8%増加。オープンから一定の期間が経過した既存店の売上も13.9%増えています。

 店舗も1017から1030へと堅調に増加しています。

 ミスタードーナツも価格改定を繰り返していますが、もともと120円から150円程度で販売していたため、値上げに強いという特徴があります。コーヒーをおかわり無料で提供するなどサービス力も高く、客離れを起こす様子がありません。

◆セブンイレブンとは競合にならない?

 ミスタードーナツはカフェのほか、自分用のテイクアウト、土産ものとしての利用も見込めます。需要の幅が広いのです。セブンイレブンのドーナツは無目的で購入するケースが大半だと考えられますが、ミスタードーナツはわざわざドーナツを食べるために足を向ける人が中心。利用シーンが異なるために競合にはなりにくいのです。

 ミスタードーナツは、マクドナルドを中心としたファーストフードの市場を奪いに動いている印象を受けます。2024年10月に「台湾風ルーロー麺」を限定販売するなど、麺類の強化を図りました。価格は1杯あたり700円を下回ります。

 マクドナルドは度重なる値上げで割高感が強まりました。客数は堅調に推移しているものの、価格を軸に客を奪う隙を見せているのも確か。ミスタードーナツがファーストフードという新たな市場を獲得できれば、次の成長ステージに移行することができるでしょう。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

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