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唐十郎さん死去 話し上手だった母が唐さんの世界観つくった

スポニチアネックス / 2024年5月6日 5時1分

89年、日生劇場「盲導犬」での(左から)蜷川幸雄さん、木村拓哉、桃井かおり、財津一郎さん、唐十郎さん

 【評伝】社会の中で生まれた弱者や、暮らしを見つめてきた唐さん。創作の根底に話し上手だった母の存在がある。

 1940年、映画監督やテレビのプロデューサーを務めた父・大鶴日出栄と、同人誌に戯曲を書く母との間に次男として誕生。JR上野駅と鶯谷駅の中間にある「下谷万年町」(現・台東区北上野1丁目)で育った。

 町の婦人会長をしていた母は、自宅近くの八軒長屋で暮らす男女の娼婦(しょうふ)、暴力団の日常を弁士のように語った。東京大空襲、終戦。焼け野原になった一帯は、絶望感が広がったが、闇市が生まれるなど、たくましく生きる人の姿があった。きつねつきの話、父親が娘をはらませた親子どんぶりの話。情報通の母が軽やかに語る話が、唐さんの作品世界の基盤をつくった。

 映画「波止場」(54年)でボクサー崩れの労働者を演じたマーロン・ブランドに心酔。学生時代から、格差や不条理に関心があった。80年には、戦後間もない長屋で、家賃を稼ぐため、夜間だけ男娼に家を貸す日常を「下谷万年町物語」で描いた。翌年、蜷川幸雄さん(享年80)演出で、前妻の李麗仙さん(享年79)らで初演。普遍的なメッセージが詰まった作品は、2年前に息子の大鶴義丹(56)を中心に、東京・花園神社で再演された。血肉を通し紡いだ言葉は、私たちの心を揺さぶり続ける。浅草のストリップ小屋での集団生活中、舞台で寸劇を披露。やじる観客との攻防は、状況を演劇化する「状況劇場」の礎になった。(西村 綾乃)

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