作家・岸田奈美氏 不登校だった自分に向きあってくれた母に感謝…尾木ママの言葉に涙も
スポニチアネックス / 2024年5月9日 13時41分
作家の岸田奈美氏(32)が9日までに、自身のX(旧ツイッター)を更新。ABCテレビ「news おかえり」(月~金後3・40)で共に木曜レギュラーを務める"尾木ママ"こと教育評論家の尾木直樹氏(77)とのエピソードを伝えた。
岸田氏は「学校に行けなくなった日の謎を、尾木ママに解いてもらった話」とのタイトルで、高校1年生のある朝、突然起きられなくなり不登校になったことを投稿。「悩んでるならなんでも言って」と心配する母に対し、「なーんにも言えんかった。なに言うたらええかわからんかった。説明ができへん。わからへん。なにかがつらいのに、言葉が見つからへん」と回想した。
そして「自分でもわからんって、初めてのことで。説明できへんことにイライラして、しまいには母もイライラしはじめて」、その結果、「もうええ!学校やめる!」「もう消えたいねん、ほっといて!」と母親に当たり散らしたという。
当時の心境について「いま思えば、不安やったんやと思う。父が心臓の病気でとつぜん死んで、まだ2年しか経ってなかった。父がいない日々がなんとなく過ぎて、当たり前になっていくのが怖かった」と分析した。
「まだ形になってない不安を、わたしだけ持っているのが怖かった。わかってほしくて、怒りをぶつけてしまうけど、朝から晩まで必死で働いてる母も疲れてた。口を開けば、おたがい、ずーっとケンカ。じわじわとせまる、留年の危機!」と状況は変わらず。
しかし「ある日から、様子が変わった。母がやたらと、車を運転するようになった。わたしを助手席に乗せて。隣町のスーパーに行くとか、弟を学校まで迎えに行くとか。次から次へと用事をつくられたので、仕方ないから、とりあえず乗った」と続けた。
車内ではほぼ無言で、「めずらしくしゃべっても、ぽつ、ぽつ、と一言か二言。それでも、だんだん言葉が増えて、気づいたら、母と会話をしていた。朝も少しずつ、起きられるようになった。最初は学校まで車で送ってもらったけど、半年したら、電車で登校できた」と伝えた。
岸田氏は「あれはいったい、なんだったんだろう?15年間、ずっと謎だった。謎を解いてくれたのは、尾木ママだった」と告白。共演番組で不登校のニュースを扱った際、CM中にその話をしたところ「それはね、すっごいことよォ」と尾木ママから褒められたという。
「『車に乗ってると、前を向いてるでしょ?相手の顔を見なくていいから、カッとなりにくいの。無言でも気まずくないの」という尾木ママ。車中での会話について聞かれ「いや、特になんも……。スタバできたんや、とか。くら寿司めっちゃ並んでるやん、とか」と答えた。
すると尾木ママは「それ!そういうこと!」と反応。「気持ちを話すんじゃなくて、ただ、同じように見えてるものを話すの。話すっていうか、もはや確認でいいの。そしたらこの人は仲間だって、安心できるんだって。"共視"っていうんだけどね」と解説したという。
さらに「車の揺れは、ゆりかごみたいで、眠たくなるし、いいのよォ。車っていう安全地帯に賭けて、岸田さんのことを見守ってくれた、すばらしいお母さんだったのねー」という尾木ママの言葉を紹介。CM後、「モニターに映るわたしの目と鼻は、グズグズに赤くなってしまっていた」とつづった。
また「帰ってから、母に話した。ありがとうを何度も言った。『えー!そんなん、考えてもみんかった!』」「『いやしかし、ほめてもらえてもうけもんや!あたしも、奈美ちゃんも、今までようがんばった!うんうん!』なんも考えてなかった母は、ホッとしたように笑った」と母の反応を報告した。
そして「先日、映画『The Son』について、感想を書かせてもらう機会があった」と明かし、「うつ病になった息子と、向き合おうとする父親が、永遠にすれ違ってしまうつらい話だ」と内容に触れた。
「かなりつらいので、観るときはそれなりに覚悟がいる」としつつも、「失望しあっていた二人が、ソファに座って、映画を見ながら、投げたポップコーンを見つめている。そのシーンの、二人の表情が、わたしはとても好きだった。きっと、それだけで、よかったんだ。感想には、その言葉を、何度も書いた。あの日のわたしに、言ってあげているようだった」と記した。
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