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日本ハム・栗山CBO はかなく散るサクラに見た命の意味

スポニチアネックス / 2024年5月10日 6時1分

栗山英樹氏メッセージ

 侍ジャパン前監督で日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO=63)による今回の連載「自然からのたより」は、人々の目を楽しませて散っていくサクラの木からの学びについて。日本の四季の中で春の象徴と言えるサクラ。満開に咲き誇った花がはかなく散ったサクラは実をつけ、次の世代へ種を残していく。気をつけなければ見過ごされてしまう自然の営みは、大切なものを訴えかけてくる。

 今年のサクラは例年より早く開花し、いつものように一瞬で散っていった。自宅のある北海道栗山町の「栗の樹ファーム」でも、例年はゴールデンウイークの後に咲いていたエゾヤマザクラはもう葉桜になっていて、もっと開花が遅いはずのシダレザクラが見頃を迎えている。シダレザクラとは開花の時期が違うスモモの白い花も咲いていて、地面はピンクと白の花びらのじゅうたんのようだ。

 日本の春には欠かせないサクラ。新型コロナウイルスが落ち着いた今年は、全国で花見が行われていた。人々の目を楽しませてくれる光景はいつも変わらない。そんなサクラの花は散るのも早い。特に北海道では一瞬にして散ってしまうように感じる。精いっぱい咲き誇り、はかなく散るから、より美しく目に映るのだろうか。

 これは、世界的に有名な小説「星の王子さま」にある名言だ。その一節の前には「心で見なくちゃ、よく見えないってことさ」とある。人々の目を楽しませてくれるサクラもよく見ると、美しい花が散った後、葉桜となって実をつけ、その実の中にある種はやがて地面に落ち、新しい芽を出していく。華やかなところにどうしても目を向けがちだけど、花見が終わっても、サクラはしっかり次世代へ命をつなぐことも忘れず実践している。

 北海道のサクラは寒い冬に、雪に覆われた中で芽吹いていく。栗山町の今年の冬はいつになく雪が少なかったけど、3月はかなり寒さが強かった。その冬を越え、春に見事な花を咲かせ、あっという間に散っていった。何とも言えない寂しさの裏側で、注意深く見てみると、ちゃんと実をつけ、地面に落ちた実の中からは種がのぞく。命をつなぐ自然の営みがそこにある。

 そんなサクラの姿は何かを問いかけてくるようだ。「あなたはどう生きてますか」「大丈夫ですか」と。そして「かんじんなこと」に気付かされる。

 ▽星の王子さま フランス人小説家のアントワーヌ・ド・サンテグジュペリの代表作。1943年に米国で出版された。小説に出てくる言葉は、人が生きていく上で大切な考え方や道筋を示している。数ある名言の中で「かんじんなこと(大切なこと)は目に見えない」という言葉は、ある星からやってきた王子さまが、出会ったキツネとの別れで教えられる。初版から200以上の国と地域の言葉に翻訳されている。

 ≪北海道のサクラは例年より開花早い≫北海道のサクラは道内に元々生えているエゾヤマザクラ、カスミザクラ、チシマザクラがある。このほかにソメイヨシノやサトザクラ、シダレザクラなども。また、フジザクラやチョウジザクラは本数が少ない。サクラの名所は、北海道神宮や円山公園(ともに札幌市)、五稜郭公園(函館市)、稚内公園(稚内市)などが有名。今年は開花が例年より早く、札幌は4月18日に開花(例年は5月1日ごろ)、4月24日に満開(例年は5月6日ごろ)。稚内公園はこれから満開を迎える。

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