【内田雅也の追球】情報より感性の意味
スポニチアネックス / 2024年10月30日 8時2分
阪神監督・藤川球児はキャッチボールをしていた森木大智に話しかけていた。29日、甲子園での秋季練習。2021年ドラフト1位の右腕もプロ3年目の今季はウエスタン・リーグで20回2/3を投げ、27四球、防御率11・32。フォーム修正を繰り返し、迷い道に入り込んでいる。来季は育成契約となる見通しだ。
「来年1軍で戦力になる可能性はある」と期待を込める。自ら指導する考えも示したが「手助けしても無理なものは無理。プロでは限界が来る。他人に頼っていてはダメということ」。冷たいようだが、本人次第なのは確かである。同様に前日28日、椎葉剛や西純矢について「データが先に入ってきて、点と点で投球を結びつけているような感じ」と指摘した。
いずれも感覚、感性の問題と言いたいわけだ。「アメリカから入ってきたデータやトレーニング、それをやればうまくなると思ってしまっている」「感性という部分が消えそうになっている」
大リーグも経験した藤川の言葉だけに面白い。案じるのはビッグデータやトレーニング理論など情報に頼りすぎる傾向か。情報も参考にするが感性を養いたい。そのためには繰り返し練習するしかない。藤川の言う「反復や惰性の強み」だ。
実に興味深い。
2012年に公開された映画『人生の特等席』はデータ全盛の野球界に疑問を投げかけている。主人公は「タカの目を持つ」と言われた大リーグ・ブレーブスの老スカウト(クリント・イーストウッド)だった。「コンピューターも必要と思わないか」と言う球団幹部に「コンピューター? 野球を知らないやつが使うものだ」と言い返す。「コンピューターは選手の勘も分からない。4打数0安打の選手が翌日、普通の顔で戻ってくることもある。それがコンピューターに読めるか」
ダルビッシュ有も認めた、自称プロウト(プロの素人)のお股ニキが指摘したのもこの点だ。2019年に出した、その名も『セイバーメトリクスの落とし穴』(光文社新書)で『マネー・ボール』(03年発行)に出てくる「三振を恐れるな。しかし三振はするな」を<本質を突いている>。そして<0か100かの二元論から脱却し、最適なバランスを探っていくことが求められる>。つまり感覚の問題である。
情報と感覚の両立は話が尽きない。いずれまた書きたい。 =敬称略= (編集委員)
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