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仏2部パリFCに革命の予感 世界長者番付1位アルノー家が買収 買収以降リーグV10度のパリSGに続け

スポニチアネックス / 2025年1月15日 6時2分

パリFCの試合観戦に訪れ、アントワーヌ・アルノー氏(左)と歓談するクロップ氏(フランスリーグ公式Xから)

 【蹴トピ】フランス2部のパリFCが注目を集めている。高級ブランド業界最大の複合企業LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)を率いるアルノー家が昨年11月に買収。複数クラブを保有するレッドブル・グループとも提携し、パリ・サンジェルマン(SG)に続く躍進が期待されている。

 革命の予感が漂っている。持ち株会社アガシュを通じてパリFCの株式52%を取得し、新しくオーナーになったのは米経済誌フォーブスの世界長者番付で2年連続1位となっているベルナール・アルノー氏とその家族だ。電気自動車大手テスラの経営やX(旧ツイッター)の買収で知られるイーロン・マスク氏をかわした総資産額は昨年4月の時点で実に2330億ドル(約37兆円)。ルイ・ヴィトンやディオールなど70超の高級ブランドを傘下に持つ世界屈指の複合企業を展開する大富豪一族がサッカークラブの経営に乗り出した。

 「夢が一つあるかと問われたら、いつか欧州チャンピオンズリーグでリバプールと対戦すること。もしかしたら彼らを倒すことさえできるかもしれない」

 そう語るのはアルノー家の総帥ベルナール氏の長男でクラブの実権を握るアントワーヌ氏だ。今季のクラブ予算3000万ユーロ(約48億円)に対し、来季の投資額は1部昇格を果たした際は2億ユーロ(約323億円)に上るとも報じられている。それでも「慌てるつもりはない。長期的視点で見ている」と話し、スターの“爆買い”は否定。「フランス最高の練習施設をつくるつもり。将来的にアカデミーから6人、7人、8人とトップチームに入るようになれば」と下部組織と施設の充実を図り、ホーム移転の可能性も浮上している。

 同じ花の都を本拠地とするパリSGは2011年6月にカタールの投資ファンドに買収されてから資金力を生かして躍進。リーグ優勝12回のうち10回は買収以降に達成した。そんな強豪とパリFCには因縁がある。1969年に創設されたパリFCとスタッド・サンジェルマンが70年に合併して誕生したのがパリSGだ。クラブ名称を巡る問題などで72年に分裂し、74~75年シーズン以降は1部に定着したパリSGに対し、パリFCが昇格して両チームがパリ・ダービーを戦ったのは78~79年の1季しかない。

 アントワーヌ氏は「パリSGは12歳から愛してきたクラブ。長年シーズン席を持っていたし、敬意を持っている」と発言。「我々が1部に昇格しても対戦する年2日以外は応援する。パリで2クラブの共存は可能」と話すが、“隣人”の躍進をうらやんできたパリFCのサポーターにとって、これ以上叩きがいがあるチームはない。

 本拠地を分け合うチーム同士のダービー・マッチはリーグの花ながら、人口1100万人超の大都市圏を持つパリには不思議と縁がなかった。今季リーグ戦で1部昇格圏の2位につけるパリFCが昇格を果たせば、来季には熱気あふれる戦いが実現することになる。

 ▽パリFC 1969年創設。70年にスタッド・サンジェルマンと合併してパリSGとなったが、72年から再びパリFCとして活動。最後に1部に所属したのは78~79年シーズンで長く低迷期が続いたが、2017~18年以降は2部に定着。ホームは1万9000人収容のシャルレッティ。女子は昨季国内リーグ3位で今季は女子欧州CLに出場し、予選2回戦で敗れた。12~13年は4強に入った。

 ≪レッドブル・グループが強力アシスト≫

 パリFCがチーム力向上で期待しているのが提携関係にあるレッドブル・グループ(RBG)の後方支援だ。

 ザルツブルク(オーストリア)やライプチヒ(ドイツ)など各国リーグで上位の成績を残す強豪の強化、運営ノウハウを持つ有力組織が昨年11月に株式11%を購入。少数株主として提携関係を結び、アントワーヌ氏は「我々には組織や管理に関するスキルはあってもサッカーチームの運営に関してはない。レッドブルには非常に強いものがある」と話す。

 既にRBGのテクニカルダイレクターを務める元ドイツ代表FWマリオ・ゴメス氏がパリFCの練習場を何度も訪れ、新たにピッチ3面や施設の建設を提言。パリFCスポーツダイレクターのフランソワ・フェラッチ氏は「選手としての経験でフィードバックをもたらしてくれる。強豪でプレーしてきて優先順位の判断が可能。我々も明確なアイデアを持てる」と指摘する。補強に関しても「データベースを提供してくれるわけではないが、独自ツール改善の知恵もくれる」と感謝する。

 12日にはRBGでサッカー部門のグローバル責任者になった前リバプール監督のユルゲン・クロップ氏がパリFCのホームでアミアン戦を観戦した。13日は練習場を訪れてスタッフや選手と交流。パリFCのピエール・フェラッチ会長を「信じられないほどの温かさで協力的な姿勢を見せてくれた。チームのプロジェクトに情熱を持ち、パリ地域の潜在能力が高いことを確信していた」と喜ばせた。

 ◇アルノー家アラカルト◇

 ☆LVMH 皮革製品や衣料の「ルイ・ヴィトン」と酒造の「モエ・ヘネシー」が1987年に合併。ベルナール・アルノー氏は88年の少数株取得から89年に経営権を取得して40歳で社長に就任。買収を重ねて事業を拡大し、21年には米宝飾大手「ティファニー」の買収が話題になった。

 ☆長者番付 ベルナール・アルノー氏と家族はフォーブス誌の23年世界長者番付で初めてイーロン・マスク氏を抜いて1位。24年も同氏を抑え、3位は米アマゾン・コム創業者のジェフ・ベゾス氏、4位は米メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者だった。

 ☆パリ五輪 LVMHはパートナー企業として協賛。ルイ・ヴィトンはメダルのトランク、ショーメはメダルの意匠デザイン、ベルルッティはフランス代表選手団の開会式ユニホームを手がけるなど傘下企業が大会を支え、ベルナール氏は「パリ五輪のゴッドファーザー」と呼ばれるなど影響力を見せつけた。

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