尚弥 10戦連続KO勝ちで4団体V3 現役最多世界戦24勝 次戦は米国再上陸を宣言

4R、金芸俊（左）をKOする井上（撮影・島崎忠彦）

　◇世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ12回戦　井上尚弥―金芸俊（2025年1月24日　東京・有明アリーナ）

　　世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥（31＝大橋）がWBO世界同級11位・金芸俊（キム・イェジュン、32＝韓国）を4回2分25秒KOで下し、3度目の4団体王座防衛を成功させた。本格的な海外進出を見据える25年の初陣をKOで飾り、現役世界最多となる世界戦通算24勝目を挙げた。自身の持つ日本人世界戦連続KO記録も大台の「10」に更新し、試合後はリング上で次戦を米ラスベガスで行うことを宣言した。

　日本が誇る“モンスター”井上が自身初の日韓戦で代役挑戦者に4回KOの圧勝。トラブルずくめの一戦に終止符を打つと「精神的にきつかった。無事に勝つことができて、どの試合よりもどっと疲れが出た」と率直な思いを口にした。

　それでもリング上では、動揺は一切見せなかった。スイッチヒッターながら立ち上がりから左構えの相手にプレッシャーをかけ続けると4回、“打ってこい”と挑発した相手の顔面に強烈なワンツーをぶち込み試合を終わらせた。「ちょっとムッとはした。そんなことしなきゃいいのに」といたずらっぽく笑った。

　試合13日前の相手変更。対策はマスボクシングを約10ラウンド行った程度だった。「対策不足。軌道などを把握できていなかった」と明かしたように、珍しく被弾もあったが強さは揺るがなかった。

　昨年12月に予定されていた防衛戦が当初の挑戦者グッドマンの負傷により1カ月延期された。所属ジムの大橋秀行会長から電話で連絡を受けたときは同門で幼なじみの山口聖矢と早朝のランニング中。「中止なら夜は焼き肉に行こう」とも漏らしたが、練習量を落とすどころかハードトレを継続。大橋会長は「試合への緊張感が日常になっている。他の選手では耐えられない」と舌を巻いた。1カ月の延期をプラスに捉えた。

（次戦「春」米国再上陸を宣言/）　昨年11月にはサウジアラビアを訪問し同国営娯楽イベント「リヤド・シーズン」と総額30億円の複数年のスポンサー契約を締結。この日は同イベントのロゴをトランクスのベルト部分に入れて戦った初戦。世界へインパクトを残し、試合後はリング上で米トップランク社のボブ・アラムCEOに促されるように「春はラスベガスで試合をしたいと思っている」と次戦で21年6月以来の米国再上陸を宣言。WBC同級1位ピカソ戦、秋ごろにはWBA同級暫定王者アフマダリエフ戦に臨むことが濃厚だ。

　ここ2戦は望んだ相手との対決は実現しなかったが、いよいよ海外でのビッグマッチが続く。勝利を置き土産に、25年は世界でモンスターの名をとどろかせる。