[INTERVIEW] 映画「容疑者」で帰ってきたコン・ユ、「残酷だった9ヶ月、軍隊に戻っているような時間でした」
THE FACT JAPAN / 2014年1月16日 0時0分
◆代役は殆どなし...飢えた獣にならなければならなかったまずは外的な部分にフォーカスを合わせた。肌も軽く日焼けして、メイクも濃い目にした。一匹のジャガーを想像しながら、飢えた獣を表現した。食事の献立に徹底し、ハードトレーニングを並行しながら体を鍛えた。それはチ・ドンチョルという人物が描くモンタージュが重要だったからだ。ダイエットに成功した秘訣について聞くと、コン・ユは「そんなダイエットは、二度としたくありません」と笑った。
「トレーニングは普段から着実にしてきましたけど、映画のために体を作るプロセスは、少し違うものでした。3ヶ月間は、ご飯やパンなどの炭水化物は口にしなかったし、お弁当を用意して撮影場を通いました。それは人間ができるダイエットじゃなかったと思います(笑)。それくらい厳しいダイエットをしてみると、気づかないうちに僕は、飢えた獣のようになっていました。“撮影現場→家→ジム”を行き来する生活ばかりで、根性ができる一方で精神が疲弊される気分でした。そんな僕の気持ち、きっとトレーナーさん以外には、誰も知りませんよね(笑)」
13年の役者人生の中で、これほど体を張ったことがあっただろうかと思うほど、コン・ユは「容疑者」に身を任せた。走って、倒れて、転んで、飛んでを何度も繰り返した。殆どのアクションシーンを代役なしでこなせたことは、彼がこの映画に対する愛情と、不安な気持ちがあったからだ。
「幸い大きな怪我はありませんでした。小さな怪我はよくあったけど、今まで体を鍛えてきたお陰だと思っています。それより、僕の体は自分の体ではないという気持ちでしたので、もっと体を鍛えました。もし僕が大きな怪我をしたら、すべての撮影スケジュールは崩れてしまいます。ですから、あえてもっと厳しく体を管理しました。アクションシーンは殆どが大変でしたが、特に絞首台で腕をひねるシーンは本当に大変でした。気を失うところだったんです。リアリティを出したいと思って、首をもっと締めてもらいましたけど、サインが合わなかったのか、思ったより強い力で締めてきたので、“やばいッ!”という瞬間もありました。」
◆ジャンル問わず、既婚男性の演技もやってみたい「容疑者」はアクションが中心だが、ストーリーにも充実した。チ・ドンチョルの物語を全て見せられなかった部分は、多少惜しく感じられるところだが、彼を中心とした登場人物らの物語も比較的よく描いている。アクションに隠れて映画のストーリーがうまく伝わらない可能性を心配したのは、コン・ユも同じだった。
「チ・ドンチョルが持っている感情の大きな軸は、父親の愛でした。ドンチョル役を演じることで、“父の愛”は僕にとって最大の課題でしたね。映画には登場しないですが、ドンチョルには、妻と子供に関連した暗い過去があります。それを全て理解してから演技することでした。またドンチョルは、北朝鮮のスパイというより、海外で働くブローカーみたいな存在です。自分の人生なんてどこにもない、そんな中で国に捨てられるんです。僕はその人が感じる喪失感ってどんなものだろうかと考えてみました。なかなか想像がつかなかったけど、そんな人生って、ただ死んだものと同様だと思えばって」
「容疑者」は、コン・ユにとって初のアクション挑戦作でもあるため、関心も高かった。その反面、これまでロマンチック・コメディジャンルが主流だった彼に、“コン・ユが演じる本格アクション映画”は、ファンと観客に想定外のことになる。しかしコン・ユは、映画「トガニ 幼き瞳の告発」(2011年)などを通じて演技変身を試みて、成長に取り組んだ。にもかかわらず、まだロマンチック・コメディの陰から離れられない13年目役者コン・ユに、演技変身はどんな意味だろうか。
「変身には大きな意味を置かないんです。映画の中で置かれている状況が重要だと思いますし、“演技変身をするべきだ、しない”というふうには考えていないです。これまではたまたまロマンチック・コメディが多かったと思いますが、作品をするたび僕には難しかったです。「あなたの初恋探します」(2010年作)の時も同じでした。“コン・ユ”になってはいけなかったんです。『容疑者』はなおさらでしたね。チ・ドンチョルという人物から、徹底的に“コン・ユ”を排除しましたし、撮影終始それを考えながら注意する必要がありました。観客の方が『容疑者』を初めてご覧になって、違和感が感じられなかったら成功だと思います。
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