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『スノーピアサー』 ポン・ジュノ監督のインタビュー

THE FACT JAPAN / 2014年2月7日 20時47分


――ソン・ガンホさんとは、『殺人の追憶』『グエムル』に続いて3作目ですね。僕はとても人見知りで寂しがり屋なので、新しい顔ぶれの中に、気の置けなくて、一緒にいて楽な人が一人はいてほしいと思っていました。それで脚本を書く前に、ソン・ガンホとコ・アソンに「再来年あたりに『スノーピアサー』という映画を撮るつもりなんだけど、お二人には出てもらいたい」と、事前に頼んでいました。
――脚本はケリー・マスターソンとの共同脚本ですね。僕が脚色する作業は2011年には終わり、次にセリフの英語訳の作業に入りました。この作品は英語がメインの作品なので、英語部分に手を加えて仕上げる必要がありました。僕が書いた韓国語のセリフをそのまま翻訳して、それを俳優に読ませるのはいけないと思ったので、英語のセリフがパワフルに書ける人を探していたんです。ちょうどその頃、シドニー・ルメットの遺作『その土曜日、7時58分』(07)を見て、男性キャラクターの描写にものすごくパワーがあるなと思いました。そこで脚本のケリー・マスターソンにすぐ連絡を取りました。この作品では父と息子の関係が描かれていたんですが、『スノーピアサー』でもカーティスとギリアムが親子関係に似ていたり、父と息子の関係を暗示するようなところがあるので、そのためにも彼の手が必要だと思って。ティルダ・スウィントン演じるメイソンの演説シーンも彼の力による部分が大きいです。
――今回、「脚色」とクレジットされていますが、原作となるフランスのコミックとの違いは?原作からは、「地球が新たな氷河期に突入し、生き残った人類はみな一台の列車に乗っていて、前方車両はお金持ちで権力のある人、後方車両は貧困な人たちが乗っている」という基本設定を持ってきました。登場人物たちのキャラクターや、主人公が前方車両へ向かって進んでいくというストーリー、革命や暴動といったコンセプトは新たに作り直したものです。原作コミックと同じ部分を探すのが難しいくらい変えていますが、そもそも原作の発想が偉大ですよね。奇想天外で、すばらしい。原作なくしてはあり得ない作品です。原作が書かれたのは1980年代半ば、30年前の話ですが、富裕層と貧困層の格差といった問題が、原作から30年経ったいま世界中で起きている。80年代にそういった問題意識を持っていた原作者は偉大だなと思います。


――本作ふくめこれまでのポン・ジュノ監督作品も、娯楽作品でありながら社会性も伴っています。僕は映画を作る時に、こうしたメッセージを盛り込みたいから映画を撮ろう、とは考えません。あくまでも映画的な楽しみは何か、映画的な興奮は何かを念頭に置いて撮っています。ただ、それだけを考えてしまうと、上辺だけの映画になってしまう。僕としては、映画的興奮というのは本当に心臓を揺さぶるような、人の気持ちを揺さぶるような興奮や楽しみであってほしい。それが真の映画の楽しみだと思います。人生は社会性、政治性と切り離せません。必ずそれらと結びついているものなので、人生を描こうとすると、そういったものは結果的に盛り込まれるのかなと思います。

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