トランプ氏“上映阻止”の問題作が公開 現実とリンクする?勝利の“3つのルール”【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月17日 21時46分
再びアメリカ大統領に就任するトランプ氏が上映阻止に動いたとされる「若き日のトランプ氏」を描いたハリウッドの問題作が、日本で公開されました。
トランプ氏が“上映阻止”も 映画「トランプの創り方」17日公開
高柳光希キャスター:
17日、公開された映画「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」。題名の「アプレンティス」とは「見習い」という意味です。
成功を夢見る20代のトランプ氏が大物弁護士・コーン氏の「見習い」として成長する姿を描いた映画です。
私も実際に見てきました。今のアメリカファーストとするトランプ氏に対して、若かりし頃はかなり自分の身近な人を一層大事にするという姿が描かれていました。
トランプタワーが完成した1983年の2人の写真です。
トランプ氏の隣にいるのが弁護士のロイ・コーン氏(1927‐1986)で、元大統領やマフィアのボスなど有力者の代理人を務め、政界などに強い影響力を持った人物です。
ワシントンポスト紙は、コーン氏について「トランプ氏に権力を悪用し恐怖を植え付ける方法を示した男」「2人は攻撃犬だ」と報じています。
トランプ氏を変えた“3つのルール” 現実とリンクする?
コーン氏はどのようにしてトランプ氏を育て上げたのでしょうか?
トランプ氏を変えた勝つための3つのルールです。
(1)攻撃 攻撃 攻撃
(2)非を認めるな 全否定しろ
(3)勝利を主張し続けろ
実際にトランプ氏の言動や行動にはリンクする部分があるように感じます。
(1)攻撃
2024年大統領選では「彼女を個人攻撃する権利がある」と主張
(2)全否定
差別的発言を批判したメディアを「フェイクニュース」と呼び、自分の非を認めず
(3)勝利を主張
2020年大統領選「不正選挙だった」と主張し敗北を認めず
20日に大統領就任となりますが、就任前から様々な発言をしています。
【トランプ氏の発言】
12月22日(トランプ氏のSNSより)
「アメリカにはグリーンランド(デンマーク自治領)の所有と管理が絶対に必要」
1月6日(トランプ氏のSNSより)
「カナダがアメリカの51番目の州になることをカナダ人も望んでいる」
1月7日
「『メキシコ湾』から『アメリカ湾』に名前を変える」
トランプ氏20日大統領に就任 「最初からアクセル全開でやっていこうとしている」
日比麻音子キャスター:
取材を続けてきて、前回と今回の違いは何ですか?
TBS岩田夏弥政治部長:
トランプ氏が最初に大統領になった時、ほとんど政治の素人でした。大統領になっても何をどうしたらいいのか戸惑っていて、閣僚ともうまくいかずにどんどん辞めてしまったり、更迭したり、ギクシャクもありました。
その後、4年間で学習をされていて、次は自分のやりたい放題にできる布陣を今集めていると思います。アメリカという国家に忠誠を尽くす以上に、自分に忠誠を尽くしてくれる人を集めて、そのメンバーでアメリカ政治を動かそうとしています。そこは大きな違いですね。
日比キャスター:
自分にとって都合がいい人を集めているともみられますよね?
TBS岩田夏弥政治部長:
「それの何が悪いんだ」という開き直りのような、そのくらい自分の意に沿う人をチームとして集めて、大統領の仕事を最初からアクセル全開でやっていこうとしています。
石破総理 会談は「最終調整中」
高柳キャスター:
石破総理は1月13日に日米首脳会談について「政権発足後、最もふさわしい時期に最もふさわしい形で行う。早期の実現を目指し、最終調整を行っている」と話しました。
岩田政治部長によると、今後の日米関係で課題となるのは「関税」や「防衛費増額」ということです。
TBS岩田夏弥政治部長:
トランプ氏は、各国関税の引き上げを突きつけるようなことをしているので、日本にも同じことを言ってくる可能性があります。
防衛費についても「アメリカが日本を守るために経費を出してるんだから、日本はもっと金を出せ」と言ってくると思います。
しかし石破総理は、アメリカ基地が日本にあることが、アメリカにとって物凄くメリットがあるということを丁寧に説明して、理解してもらいたいと話しているので、その辺りを石破総理がしっかり説明をして「これはアメリカにとっても得なんだ」ということをどれだけ理解してもらえるのかというところだと思います。
日比キャスター:
石破総理の経験が鍵になるのでしょうか?
TBS岩田夏弥政治部長:
石破総理は安全保障をずっと考えているので、そこを丁寧に説明をしたいと言っています。
日比キャスター:
いよいよトランプ政権が始まりますね。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
トランプ氏が、どういうことを考えて、何をやろうとしているのか、グリーンランドやカナダの件を見ても、どれぐらい本気なのか含め、わからない事があまりにも多いので、様子を見なければいけないと思います。
日本とアメリカの関係に関して言えば、中国との関係、ウクライナの問題、イランの情勢などの方がトランプ氏にとっては大事で、果たして日本がどれぐらい相手にしてもらえるのかが少し気になります。
TBS岩田夏弥政治部長:
アメリカ国内の問題もたくさんあるし、世界を見渡してもあちこちで紛争が起きたりしています。その中で日本がどういうふうに重視されるかといったら、トランプ氏の中では正直、優先順位はそんなに高くないと思います。
しかし、日米首脳会談を実現して、「日本ときちんと付き合っておけばアメリカにとって安心・得」「前ほど頻繁には接触はしないが、日本に任せておけば大丈夫」とトランプ氏に信頼をしてもらえるかが勝負になってくると思います。
高柳キャスター:
次期政権でトランプ氏の隣に立ちそうなのが実業家のイーロン・マスク氏。政府の支出を見直すために新設される「政府効率化省」のトップに任命される予定ということです。
日比キャスター:
イーロン・マスク氏は、どう動いてきますか?
TBS岩田夏弥政治部長:
異常なほどにトランプ氏を焚きつける、アクセルを踏ませるような役割をすると思います。どちらに向かっていくのかまだまだ見えませんが、これまで以上に動きはすごく早く大きくなる可能性はあります。
========
<プロフィール>
岩田夏弥さん
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済思想 社会思想
著書『人新世の「資本論」』が50万部突破
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